■ 世界最新ニュース
年末の米国を揺るがした「生牡蠣のサルモネラ中毒」。22州に広がる異例のアウトブレイクを読み解く新着!!

2025年末、米国で非常に珍しい食中毒事例がCDCから報告されました。生牡蠣を原因とするサルモネラ食中毒です。牡蠣による食中毒といえば、通常はノロウイルスや腸炎ビブリオが原因の大半を占めますが、今回は稀な血清型であるSalmonella Telelkebir(サルモネラ・テレルケビル)による広域アウトブレイクとして、CDCが調査を進めています。

  通常、生牡蠣の微生物リスクと言えばノロウイルスや腸炎ビブリオ/Vibrio が中心であり、サルモネラが主役として登場することはほとんどありません。 本稿では、この年末アウトブレイクを概観するとともに、生牡蠣に対する微生物規格基準が米国・EU・日本でどのように設計されてきたのか、その歴史的背景を含めて整理してみます。

続きを読む
お知らせ
年末のブログ更新スケジュールについて

いつも当ブログをご愛読いただき、心から感謝申し上げます。

 さて、本日は少し長めの休暇について、皆様にお知らせします。

 まず、12月16日(月)から12月30日(月)まで、私事ではございますが、クリスマス休暇をいただくことになりました。ここの間、ブログの更新をお休みさせていただきます。
この間、皆様からいただくご質問やコメントには、休暇明けに順次対応させていただきます。

 新しい年が皆様にとって学びと発見に満ちた素晴らしいものとなりますように。来年も、皆様の知識の一助となるブログをお届けすることを楽しみにしています。

 ブログ記事は1月6日(月)から再開します。

続きを読む
増殖制御・消費期限
スペインの食品安全委員会が示した消費期限設定の科学的アプローチ:小売店でスライスされたRTE食品に焦点を当てて

食品の安全性を確保するうえで、消費期限の設定は極めて重要です。一般的に、食品メーカーが製造するパッケージ製品では、消費期限が厳密に設定されています。しかし、小売店舗のバックヤードでスライスされ、パッケージされたReady-to-Eat(RTE)食品については、その消費期限が曖昧である場合があります。このような背景を受け、スペイン・バルセロナ公衆衛生局は、小売店舗でスライス・パッケージされるRTE食品の安全な消費期限を科学的に評価し、明確な指針を策定する必要性を認識しました。この問題に対処するため、バルセロナ公衆衛生局は、スペイン国内の食品安全科学諮問委員会に調査を依頼しました。この委員会は、食品の安全性に関する科学的助言を行うスペインの専門機関で、EU基準に準じた評価手法を採用しています。その結果、リステリア菌の増殖リスクを科学的に評価し、消費期限を「5日未満」と設定する結論が導き出されました。本記事では、このプロセスを解説し、食品品質管理の現場で役立つ知見をお届けします。

続きを読む
食品工場衛生管理における微生物検査ー環境モニタリング
リステリア菌の脅威:カット野菜・果物工場の汚染実態を徹底調査

 前記事では、EUにおける乳製品および食肉製造工場におけるリステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)の汚染実態を環境モニタリング調査によって明らかにしました。それでは、カット野菜工場における汚染状況はどうでしょうか?実は、L. monocytogenesによる食中毒は最近、肉製品だけでなくカットフルーツ、カット野菜、ミックスサラダ、冷凍野菜などでも多発しています。このような実態を受け、これらの加工工場におけるL. monocytogenesの汚染状況を明らかにする必要があります。本記事では、カット野菜・果物・ミックスサラダ工場における汚染実態を探ります。

続きを読む
お知らせ
勤労感謝の日(振替休日)のためブログ更新はお休みさせていただきます

11月24日(月)は、勤労感謝の日(振替休日)のためブログ更新はお休みさせていただきます.

続きを読む
リステリア
冷凍野菜のリステリア汚染リスク:英国で明らかになった実態

  冷凍野菜は、消費者が購入後に加熱・調理することを前提に流通しているため、リステリア菌に関する基準はEUでも設定されておらず、Ready to Eat (RTE)食品とはみなされていません。しかし、リスクは消費者の誤解だけに留まりません。加工業者が誤って冷凍野菜を加熱せずに使用してしまうことも、食中毒の原因となります。実際、以前紹介したEUでの冷凍スイートコーンによるリステリア食中毒事件では、消費者が冷凍食品を生で食べたことに加え、加工業者の誤った処理も関与していました。本記事では、英国公衆衛生庁(Public Health England: PHE)の研究グループの調査結果をもとに、冷凍野菜のリステリア汚染実態調査の結果を紹介します。

続きを読む
基礎講座ーその他の食中毒菌
なぜ腸管出血性大腸菌だけが牛で、他の4つの下痢性大腸菌は人が宿主なのか?

前記事で、腸管出血性大腸菌(EHEC)の自然宿主はウシなどの反芻動物であり、いっぽう残りの4つの下痢性大腸菌(EPEC、ETEC、EAEC、EIEC)はヒトに適応した系統であると説明した。すると読者から、こんな質問が届いた。

「どうしてEHECだけがウシが自然宿主で、他の4つは人間が自然宿主なんですか?」

 これはとても興味深い質問である。食品微生物学を学ぶ者にとって、時には微生物を単なる“敵”としてだけでなく、“進化の時間軸”における生態学的な位置づけを考えることも重要だ。ここでは細かい病原メカニズムではなく、生態と進化の時間軸から、この問いを捉え直してみたい。

続きを読む
お知らせ
文化の日(振替休日)のためブログ更新はお休みさせていただきます

11月3日(月)は、文化の日(振替休日)のためブログ更新はお休みさせていただきます.

続きを読む
腸管出血性大腸菌
EAEC(腸管凝集付着性大腸菌)による富山県ホテル食中毒 ― “ヒト”が宿主の大腸菌に注意

2025年10月11日に富山県のホテルで集団食中毒が発生した。原因となったのは、聞き慣れない 腸管凝集付着性大腸菌(EAEC) である。腸管出血性大腸菌(EHEC)はよく知られているが、EAECを知っている人は食品業界でも少ないだろう。特に「この菌はどこから来るのか」「何に気をつければいいのか」という点は、品質管理担当者にとって極めて重要な視点である。本稿では、この菌の特徴と感染源について、実務的な観点から整理する。 

続きを読む
基礎講座ー微生物の増殖条件とその制御
大根のイソチオシアネートは殺菌作用があるのに、なぜノロウイルスには効かないのか?

 大根には殺菌効果があるとよく言われる。その理由は、大根に含まれる イソチオシアネート という成分の抗菌作用にある。ところが最近、ノロウイルスに汚染された「殺菌効果のあるはずの大根おろし」による食中毒が発生した。「大根には殺菌効果があるはずなのに、なぜウイルスに効かなかったのか?」——本稿では、この疑問に対して ウイルスと細菌の構造的な違い という観点から分かりやすく解説する。

続きを読む