黄色ブドウ球菌
黄色ブドウ球菌関連の過去20年間における注目論文です。
日本の規格基準における黄色ブドウ球菌が映し出す「ヒト」という変数、そしてEUにはなぜ基準がないのか
日本の加熱食肉製品(包装前加熱殺菌)には、黄色ブドウ球菌≤10³/gという成分規格がある。スーパーに並ぶハムやソーセージの多くが、この基準をクリアして出荷されている。一方、EUの微生物基準(Regulation (EC) No 2073/2005)を開いてみると、加熱食肉製品に対する黄色ブドウ球菌の基準は存在しない。食品安全基準にも、工程衛生基準にも、である。
なぜ日本には基準があり、EUにはないのか。なぜ、食中毒菌である黄色ブドウ球菌が日本の規格では「10³/g以下」という“許容値”が設定されているか。そしてなぜ日本の規格基準は、5つの食肉製品区分のうち3つにだけ黄色ブドウ球菌を入れ、2つには入れていないのか。この「10³/g以下」という数字と「入っていない1つのカテゴリー」に注目すると、日本の規格基準の設計思想が浮かび上がる。そしてその先に、日本とEUの管理哲学の根本的な違いが見えてくる。黄色ブドウ球菌という菌が映し出しているのは、食品安全管理における最も厄介な変数 ——「ヒト」の問題だ。前記事に引き続き、本稿では、日本とEUの基準のズレを糸口に、これからのHACCPと微生物制御の本質的なあり方を考察する。
黄色ブドウ球菌保菌者の割合は?その実態と原因解明
前記事では、イタリアの食事施設の調理者が原因で黄色ブドウ球菌中毒が起きた事例を紹介しました。ここで気になるのは、一般の人々の中で黄色ブドウ球菌はどれぐらいの割合で保菌しているのかという疑問です。黄色ブドウ球菌は健康な成人の前鼻に常在する常在菌であり、世界人口の20%から30%が断続的および持続的に感染していると言われています。本記事では、その保菌率やなぜ保菌してしまうのかの原因についての詳細な実態を解明します。黄色ブドウ球菌の保菌に関心がある方必見です!
食中毒の原因は従業員の鼻腔と手指からの黄色ブドウ球菌!イタリアの事例から学ぶ
黄色ブドウ球菌は、多くの場合、人の手指の表皮に生息しています。従業員の手が直接食品に触れることで、黄色ブドウ球菌が食品に移行し、エンテロトキシンを生成して食中毒を引き起こすことがあります。この記事では、実際にイタリアの食堂で従業員の鼻腔や手指からの黄色ブドウ球菌による汚染が原因となり食中毒が発生した事例を紹介します。この事例は、ブドウ球菌中毒の典型的な例であり、食品取扱者が鼻や手にエンテロトキシン産生黄色ブドウ球菌を保有していたことが食品汚染の主な原因とされています。
黄色ブドウ球菌のエンテロトキシンAによる嘔吐メカニズムの解明
黄色ブドウ球菌は典型的な毒素型食中毒菌であり、その症状は嘔吐です。また、黄色ブドウ球菌はエンテロトキシンAを産生することが知られています。しかしながら、このエンテロトキシンAが具体的にどのように嘔吐を引き起こすのかは、これまで謎とされていました。しかし、2019年、北里大学の小野久弥博士らが世界で初めてこのメカニズムを解明しました。この記事では、博士らの研究結果を紹介します。黄色ブドウ球菌が引き起こす嘔吐の仕組みについて、驚くべき新たな知見が明らかにされました。
消毒のしすぎ、手荒れに注意ー皮膚の善玉常在菌の表皮ブドウ球菌の役割
黄色ブドウ球菌は皮膚表面で炎症を起こす悪玉菌です。皮膚表面に付着している黄色ブドウ球菌を減らすにはどうしたらよいでしょうか?皮膚表面の常在菌は、この悪玉菌を排除する力を持っているのでしょうか?実は、このことについて、これまで科学的に明確なエビデンスは存在していませんでした。 2017年にカリフォルニア大学サンディエゴ校の中辻博士らによって行われた研究が、このことを科学的に立証しました。表面の常在菌である表皮ブドウ球菌が黄色ブドウ球菌を攻撃排除していることが明らかになりました。




