納豆を食べて菌血症新着!!
納豆は、納豆菌による大豆タンパクの発酵により消化が良くなり、健康食品として重宝されています。私も毎日、毎朝納豆を食べています。このように健康食品の納豆ですが、高齢者や基礎疾患がある人、免疫が弱い人にとっては、時にリスクを伴う可能性があります。この記事では、基礎疾患を持つ高齢者が納豆を食べることによって菌血症になった事例を、大分大学医学部附属病院の研究報告を基に紹介します。
米国で1万人超―RTEレタスで過去最大規模のCyclospora食中毒
米国で、Cyclospora(サイクロスポラ)による非常に大規模な食中毒が発生しています。2026年8月20日時点で、患者数は10,930人、入院454人、死亡2人。17州から患者が報告されています。原因食品として強く関連付けられているのは、メキシコ中部産のアイスバーグレタスです。FDAによる調査は現在も続いています。
Cyclosporaは、食品安全の分野では以前から知られている病原体ですが、このブログではこれまでまとまって紹介したことがありませんでした。そこで今回は、この米国で起きている大規模食中毒を紹介するとともに、「そもそもCyclosporaとはどんな生物なのか?」を簡単に整理してみたいと思います。
EUで食中毒菌の全ゲノム解析が制度化―本当の価値は「過去の食品株」と「今日の患者株」をつなぐこと
2026年8月23日、EUで食中毒菌の全ゲノム解析(WGS)を活用した新たな監視制度の適用が始まりました。Commission Implementing Regulation (EU) 2025/179 に基づく制度です。これにより、WGSを用いて食中毒の原因菌をEU全体で追跡・比較する仕組みが、いよいよ本格的に動き始めました。本ブログでは、約2年前の2024年10月、この制度化に向けたEUの動きを紹介しました。当時は、「米国GenomeTrakrのようなWGS監視がEUでも本格化する」という観点からの紹介でした。それから約2年。制度は正式に成立し、2026年8月23日から実際の適用段階に入りました。
本記事では、改めて、この制度を理解するうえで重要なポイントを整理したいと思います。それは、WGSの本当の威力は、いま発生している患者株同士を比較することだけではないということです。数年前に食品や食品工場から分離された菌株と、今日の患者由来株を照合できる――そこにこそ、WGSを食品安全行政に導入する大きな意味があります。今回は、2024年の記事以降、何が明らかになったのかを整理し、最後に日本で最近報告されたリステリア菌血症11例の事例を通じて、日本の現状も考えます。
夏季リフレッシュ休暇を取らせていただきます(8月10日~8月17日)
勝手ながら、8月4日(月)は夏季リフレッシュ休暇、8月11日(月)はお盆休み、8月18日(月)も夏季リフレッシュ休暇を取らせていただき、ブログ更新をお休みさせていだきます。
8月25日(月)から記事更新再開します。
東京海洋大学名誉教授 木村 凡
焼き鳥でカンピロバクターとサルモネラの同時感染
厚生労働省が、生食用鶏肉の衛生管理に関する全国的なガイドラインを策定する方針であることが、2026年7月2日にNHKで報じられました。ガイドラインの具体的な内容はまだ明らかになっていませんが、食品会社の品質管理担当者の間でも、生食用鶏肉とカンピロバクターへの関心が高まっているのではないでしょうか。
そこで今回は、ガイドラインそのものの解説ではなく、鶏肉に関連した少し珍しい症例報告を紹介します。一人の患者が、鶏肉に関係する代表的な二つの食中毒菌、カンピロバクターとサルモネラに同時に感染した事例です。東京都立多摩総合医療センターの医師らが報告したものです。
今週のブログ更新について
親愛なる読者の皆様へ、
いつも当ブログをご愛読いただき、心より感謝申し上げます。
通常、毎週月曜日に新しい記事をお届けしておりますが、今週は業務が立て込んでいるため、ブログの更新をお休みさせていただきます。
来週以降は、また通常どおり食品微生物に関する話題をお届けしてまいりますので、引き続き当ブログをよろしくお願いいたします。
EU新リステリア規則、なぜ生まれたのか——一つの食品事故とひとつの判決の物語
6月29日公開記事の後半部分では、2026年7月1日に施行されたEUのリステリア新規則(Regulation (EU) 2024/2895)について、そのポイントを解説しました。「リステリア菌が増殖可能な食品」について、消費期限中に100 cfu/gを超えないことを製造業者が証明できない場合、流通・販売段階の製品にも25g中不検出という厳しい基準が適用される、というのが今回の改正の核心でした。
今回はその補足として、「なぜこのような改正に至ったのか」という背景を掘り下げてみたいと思います。実はこの改正の背景には、ある一つの食品事故と、それをめぐって争われたEU司法裁判所(CJEU)の判決があると考えられています。今回はその事件の概要をご紹介したうえで、この判決がどのように今回の改正につながったと考えられるのかを整理します。
インスタントラーメンでサルモネラ食中毒?—EFSAが報告した多国間アウトブレークと低水分食品リスク
2026年6月30日、EFSA(欧州食品安全機関)がインスタントラーメンを原因食品とするサルモネラの多国間アウトブレイクについて報告書を公表しました。即席麺を原因食品とするサルモネラ食中毒事例は、少なくとも筆者が確認した範囲では過去に前例が見当たりません。加熱調理を前提とする食品でのサルモネラ事例として、整理しておく価値があります。
EUリステリア新規則施行直前:リステリア菌を「増殖させない食品」とは何か?—pH・水分活性・保存期間から考えるRTE食品のカテゴリー分類
2026年7月1日、EUにおけるRTE食品のListeria monocytogenes規則の改正施行が、いよいよ目前に迫っている。今回の改正で特に重要なのは、「リステリア菌が増殖可能な食品」について、製造業者が消費期限末までに100 cfu/gを超えないことを科学的に示せない場合、より厳しい25g中不検出の基準が流通・販売段階にも適用される点である。
では、そもそも「リステリア菌が増殖可能な食品」と「増殖を支持しない食品」は、どのように区別されるのだろうか。ここを理解しないままEUの100 cfu/g基準だけを見ると、「EUはリステリアを100 cfu/gまで認めている」という誤解につながりやすい。そこで本記事では、EUの微生物基準の基本規則である Regulation (EC) No 2073/2005 に立ち返り、リステリア菌の増殖を支持しない食品とは何かを、pH、水分活性、保存期間などの観点から整理する。









