食品工場衛生管理における微生物検査ー環境モニタリング
環境モニタリングの盲点—「綿棒でいつも陰性」は本当に安全?最新論文から学ぶサンプリング設計の最適化新着!!

最近、日本の食品企業でもEMP(環境モニタリングプログラム)に取り組む会社が急速に増えてきています。HACCPの定着や国際認証への対応から、環境中のリステリア対策を本格化させているQC担当者の方も多いのではないでしょうか。今回はそのタイムリーなテーマに関する論文を紹介します。スペインのバレンシア工科大学のグループが2026年4月に発表した、RTE食品工場におけるリステリア環境モニタリングの採取デバイス比較研究です。「拭き取り検査といえば、昔から使い慣れている綿棒(スワブ)で十分」と思っている現場にこそ、ぜひ知っていただきたい情報を提供します。

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■ 過去20年間の注目論文
黄色ブドウ球菌食中毒はなぜ繰り返されるのか——2つの海外研究が示す「工場管理の盲点」

 先週、峠の釜めしで知られる荻野屋の商品を原因とする黄色ブドウ球菌食中毒が報告されました。被害規模は限定的でニュースとしては小さな扱いでしたが、食品工場のQC担当者にとってこうした事例は決して他人事ではありません。黄色ブ […]

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■ 過去20年間の注目論文
エノキ茸のリステリアリコールはなぜ繰り返されるのか― 韓国研究者が示した“落としにくい汚染ポイント”

米国で、エノキ茸の Listeria monocytogenes 汚染によるリコールが再び報告されました。今回は韓国産エノキ茸に加え、台湾関連とみられるエノキ茸もリコール対象となっています。

エノキ茸は日本や韓国では加熱して食べる食品という感覚が強い一方、米国では生や半生で食べられる可能性も踏まえてリスクが評価されます。そのため、リステリア汚染が確認されるとリコールにつながりやすい食品の一つになっています。

では、エノキ茸ではなぜリステリア問題が繰り返されるのでしょうか。今回は、韓国の研究者らが発表したエノキ茸加工施設の衛生管理研究を手がかりに、製造現場に潜む“落としにくい汚染ポイント”を考えてみます。

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■ 世界最新ニュース
米国の乾燥乳粉末関連サルモネラリコールから考える原料管理の基本

連休中に入ってきた米国のニュースで、乾燥乳粉末に関連するサルモネラ汚染リスクにより、複数の食品リコールや公衆衛生アラートが相次いでいます。

公式情報で確認できる関連製品には、スナックミックス、ポテトチップ、ポークラインドおよびシーズニング、粉末飲料ミックス、肉・鶏肉製品などがあります。最終製品だけを見ると一見ばらばらに見えますが、その背景には、乾燥乳粉末を含む原料がシーズニングや加工食品に使われ、複数の下流製品へ広がったという共通点があります。

このような「原料の汚染リスクが下流製品へ波及する」事例は、決して前代未聞の珍事件ではありません。むしろ、食品安全の教科書に出てくるような典型的なリスクです。

しかし、典型的だからこそ、現場では定期的に思い出す必要があります。

今回は、米国で起きている乾燥乳粉末関連のサルモネラリコールを例に、低水分食品におけるサルモネラリスクと、原料起点のリコールが下流製品へ連鎖する仕組みについて整理します。

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お知らせ
ゴールデンウィーク前後に伴うブログ更新のお休みについて

親愛なる読者の皆様へ、

 いつも当ブログをご愛読いただき、心より感謝申し上げます。

4月27日(月)および5月4日(月)は、ゴールデンウィークを挟む時期にあたるため、ブログの更新をお休みさせていただきます。

次回の更新は、5月11日(月)を予定しております。

 皆様の温かいサポートに感謝し、引き続き当ブログをよろしくお願いいたします。

敬具

東京海洋大学名誉教授 木村 凡

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腸内細菌、ヒト常在菌
食生活はヒトの腸内細菌叢を迅速かつ再現性よく変化させる

 私たちの腸内フローラは、私たちが摂取する食品に大きく左右されることはよく知られています。特に長期間にわたる食生活の腸内フローラへの影響はよく知られています。しかし、毎日の食事レベル、つまり短期間ではどうでしょうか?具体的にどれほどの速度で、どのような幅で変化するのか、これまで詳細には解明されていませんでした。2014年の研究は、この領域に新たな光を当てました。この記事では、この研究が明らかにした驚くべき事実を探り、私たちの腸内細菌叢が日々の食事にどれほど迅速かつ再現性の高い変化を示すかを明らかにします。

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基礎講座ー食品安全性における微生物の国際基準・規格
日本の規格基準における黄色ブドウ球菌が映し出す「ヒト」という変数、そしてEUにはなぜ基準がないのか

日本の加熱食肉製品(包装前加熱殺菌)には、黄色ブドウ球菌≤10³/gという成分規格がある。スーパーに並ぶハムやソーセージの多くが、この基準をクリアして出荷されている。一方、EUの微生物基準(Regulation (EC) No 2073/2005)を開いてみると、加熱食肉製品に対する黄色ブドウ球菌の基準は存在しない。食品安全基準にも、工程衛生基準にも、である。

 なぜ日本には基準があり、EUにはないのか。なぜ、食中毒菌である黄色ブドウ球菌が日本の規格では「10³/g以下」という“許容値”が設定されているか。そしてなぜ日本の規格基準は、5つの食肉製品区分のうち3つにだけ黄色ブドウ球菌を入れ、2つには入れていないのか。この「10³/g以下」という数字と「入っていない1つのカテゴリー」に注目すると、日本の規格基準の設計思想が浮かび上がる。そしてその先に、日本とEUの管理哲学の根本的な違いが見えてくる。黄色ブドウ球菌という菌が映し出しているのは、食品安全管理における最も厄介な変数 ——「ヒト」の問題だ。前記事に引き続き、本稿では、日本とEUの基準のズレを糸口に、これからのHACCPと微生物制御の本質的なあり方を考察する。

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サルモネラ
加熱食肉製品のサルモネラ管理:日本とEUに横たわる思想差

日本の食肉加工現場において、「加熱食肉製品(包装前加熱)」からサルモネラ属菌が検出されることは、絶対にあってはならない「規格基準違反」である。我々はこれを当然の前提として受け入れている。

 ところが、欧州(EU)の微生物基準に目を向けると、面白い違いが見えてくる。実は、EUの食品安全基準において、豚や牛を原料とする加熱済み食肉製品には、サルモネラ不検出基準は置かれていない。この一見すると「緩い」ともとれるEUの姿勢は、決して衛生管理の手抜きではない。むしろ、科学的合理性とプロセスへの絶対的な信頼に裏打ちされた、タフな工程・環境の管理思想の現れである。本稿では、日本とEUの基準のズレを糸口に、これからのHACCPと微生物制御の本質的なあり方を考察する。

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基礎講座ー微生物の増殖条件とその制御
有機酸の“効き”はなぜ違うのか

有機酸が微生物を抑える基本メカニズムは、酸性環境下で非解離型(HA)となった有機酸は相対的に脂溶性(疎水性)が高まり、細胞膜を通過して細胞内へ入る。中性に近い細胞内で解離し、水素イオン(H⁺)を放出して内部pHを下げる。その結果、微生物はATPを消費して排出を試みるが負担が大きくなり、増殖が抑えられ、場合によっては死滅する。酢酸ナトリウムの日持ち向上剤であっても、プロピオン酸やソルビン酸のような保存料であっても、基本の作用は同じである。

 では、ここで一つ疑問が生まれる。同じメカニズムなのに、なぜ有機酸ごとに効き方が違うのか。 本記事では、この疑問に答えるための要素を解説する。読み終えると、有機酸を使用する際の目安を見積もるための“考え方”が身につくはずである。

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■ 世界最新ニュース
【緊急続報】EUリステリア新規則施行まで100日:最新技術文書が確定させる「証明」の義務

2026年7月1日のリステリア新規則施行(規則(EU) 2024/2895)まで、残りわずかとなりました。昨年1月の本ブログ記事では、欧州委員会(EC)による基準厳格化の輪郭と、日本企業が直面する「立証責任の転換」について警鐘を鳴らしました。

 この施行を目前に控え、実務上の大きな動きがありました。2026年2月26日、欧州リステリア参照研究所(EURL Lm)より、保存性試験の技術的な国際規格(ISO)に完全準拠した技術ガイドラインとなる「チャレンジテストおよび保存性試験に関する技術ガイドライン(第4版・修正1)」が公開されました。本稿では、この技術文書が確定させた「科学的証明」の具体的要件と、輸出実務が直面する過酷な条件について整理します。

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