食品工場衛生管理における微生物検査ー環境モニタリング
食品工場衛生管理における微生物の環境モニタリングは、食品安全から見た食品微生物分野の重要項目である。個別のモニタリング事例について、本ブログでシリーズ化して、個別文献を紹介していく(連続ではなく、随時掲載)。
米国FDAがリステリア・モノサイトゲネスではなくリステリア属菌の環境モニタリングを推奨する理由とは?新着!!
食品製造工場における環境モニタリングプログラムでは、Listeria monocytogenesの検出が重要視されています。しかし、米国FDAのガイドラインでは、まずリステリア属菌を指標菌としてモニタリングを行うことで十分な効果が得られるとされています。本記事では、リステリア属菌のモニタリングが推奨される理由と、米国における具体的な事情について詳しく解説します。
工場環境モニタリング指標として大腸菌群や一般生菌数はリステリア・モノサイトゲネスの代用になるか?
食品製造工場ラインでのリステリア検査において、代わりに一般生菌数や大腸菌群検査などを使用することはできないか、と考える品質管理担当者は多いかもしれません。しかし、実際に行われた検証結果によると、大腸菌や一般生菌数の検査結果とリステリア菌の検査結果は一致せず、これらの検査では代用することができないことが明らかになりました。本記事では、この問題を詳しく検証した論文を紹介します。リステリア検査の重要性とその正確性について理解するために、ぜひお読みください。
食品工場の環境微生物モニタリングプログラムのフランスでの普及状況は?
食品工場の安全は、微生物による汚染リスクを防ぐために不可欠な『環境モニタリングプログラム(EMP)』が鍵を握ります。この革新的なプログラムは、過去10年間でEUと米国で大きな関心を集め、新たな食品安全対策の一角を担っています。しかし、全ての工場での導入はまだまだ途中段階。今回は、EMP導入に積極的なフランスの食品工場でのその普及状況と現状について深堀りします。
食品工場の環境モニタリングにおける拭き取り検査ツールの性能比較と最適選択法
食品製造工場の環境モニタリングには、ガーゼ、スティックスワブ(綿棒)、スポンジ、コンタクトプレートなどの拭き取り検査ツールが使用されます。EU諸国の食品製造工場では、これらのツールの中でどれが最も頻繁に利用されているのか、また微生物の拭き取り検査の効率的な方法は何か、興味深い調査結果があります。フランスの食品や環境安全保障の国家機関ANSESが行った調査結果をご紹介します。品質管理担当者で拭き取り検査ツールの選択に悩んでいる方には必見の情報です。
食品製造施設におけるATP検査と微生物検査の有効性:豆腐製造施設のケーススタディ
食品産業において、洗浄と衛生の監視のため、迅速なATP検査が広く使われています。本記事では、豆腐製造施設においてATP検査と微生物検査を行ったケーススタディを紹介し、ATP検査の有効性を検証しました。汚れの取れにくい標的箇所を絞り込んだ重点洗浄活動の介入前と介入後で検証した結果、ATP、一般生菌数、乳酸菌の衛生要件を満たさないスワブの割合が減少しました。本記事は、豆腐製造施設だけでなく、食品製造施設全般においてATP手法を用いた衛生監視の参考になります。
16S rRNAアンプリコンシーケンスによる粉ミルク工場の細菌叢解析
クロノバクター・サカザキ、サルモネラ菌の粉ミルク汚染は乳児への深刻な健康危害をもたらします。粉ミルク工場では、包装段階前のクロノバクター・サカザキの混入を防ぐことが重要です。その為に、工場環境の細菌叢解析が重要な意味を持ちます。本記事では、16S rRNAアンプリコンシーケンスス技術を用いて、アイルランドの2つの粉ミルク工場の微生物菌叢を2年間にわたりモニタリングした報告を紹介します。本研究は、16S rRNAアンプリコンシーケンス解析を用いて 粉ミルク工場環境の細菌叢を調べた最初の研究です。