基礎講座ー食品微生物学の基礎

食中毒菌の本来の棲家さえ理解すれば、その性質(食中毒発症のパターン、増殖特性、殺菌抵抗性、薬剤抵抗性、検出培地の原理等)は有機的に結び付けて整理することができます。ここでは、これらを芋づる式に理解するコツを概略的に説明します。また、一般生菌数、大腸菌群、変敗乳酸菌など、食中毒細菌以外の基礎事項についても解説します。

基礎講座ー食品微生物学の基礎
グラム陰性菌の整理に必要なOF試験判定

   分離した細菌がグラム陰性桿菌である場合、次に重要な判断は、好気性細菌か通性嫌気性菌の判定である。本記事では、細菌の増殖と酸素の関係を理解するために、まずは、解糖系とは何か、クエン酸回路(TCA回路)とは何か、電子伝達系とは何かについて、遊園地で子供たちがジェットコースターに乗る場合に例えて、ATP(エネルギー)の産生量の違いを重点にわかりやすく説明を加える。また、好気性細菌とは何か、通性嫌気性菌とは何か、偏性嫌気性菌とは何か、OF試験の原理や判定方法についても述べる。

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基礎講座ー食品微生物学の基礎
グラム陰性菌とグラム陽性菌の特徴、違い、種類を整理する微生物分類方法(食品微生物学整理箱)

最近は 16srrna遺伝子解析に基づく種の同定が 盛んになっている。その結果、細菌の分類が微細かつ複雑になってきた。しかし食品微生物学の分野では、詳細な分類を行う前に、頭の中で大きな枠組みを理解しておくことの方が重要である。この記事以降、数記事にわたり、食品微生物学の中で登場する各種グラム陰性菌やグラム陽性菌の種類や特徴の整理・覚え方に便利な微生物分類方法、すなわち、頭の中の食品微生物学整理箱をについて述べたい。グラム陽性菌とグラム陰性菌とでは、頭の中で整理しておくべき整理箱の構成が少し違う。これらの枠組みを頭の中に入れておくと便利である。

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ヒスタミン食中毒の原因になりやすい食べ物とヒスタミン生成菌

 この記事では、ヒスタミン食中毒の原因になりやすい食べ物とはどんな食べ物なのか、その原因、ヒスタミン食中毒の症状、予防方法、、ヒスタミン生成をする細菌、なぜ細菌によるヒスチジン脱炭酸反応はなぜ行われるのか、一度できたら食品の加熱ではヒスタミンは消えないこと、魚だけが原因食品ではなということなど、をわかりやすく説明する。

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酵母とカビについて

生物学的位置づけ  ここで食品微生物の中で、細菌以外の重要な微生物である酵母とカビについて簡単に説明する。  酵母、真菌、キノコは、互いにかなり近いグループである。酵母とカビは原核生物の細菌よりもずっと複雑な細胞構造を持 […]

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食品関連代表的グラム陽性菌 乳酸菌

本記事では、食中毒細菌以外で、食品に関連する代表的なグラム陽性細菌の代表格として、乳酸菌について説明する。  チルド流通包装食品の普及に伴い、変敗乳酸菌による変敗事故やクレームが増加している。一般的に微生物の教科書では、 […]

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基礎講座ー食品微生物学の基礎
大腸菌とは何か、大腸菌群とは何か

本記事では、まずは、大腸菌とは何か、大腸菌群とは何か、 両者の違い、これらの微生物の定義、どこにいるのか、食中毒菌なのか、死滅しやすいのか、体内に入るとどうなるのか、腹痛を起こすのか、 などなどの初心者の疑問が一括して解決できるように説明を加えたい。一方、少し踏み込んで、 環境での生存、検査方法、食品で大腸菌菌群が検出されることの意味、国内と海外の大腸菌や大腸菌群の微生物規格はどう違うのか、食品衛生法上の位置づけや問題点、についても説明する。

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基礎講座ー食品微生物学の基礎
私たちの身の回りの微生物数(一般生菌数)

食品に関わる微生物について個別に説明する前に、まず食品や糞便にどのくらいの数の微生物がが存在しているか(一般生菌数)にについて少し理解を深めておこう。 一般的に新鮮な魚や野菜には、 103から104cfu/gの生菌数が存 […]

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培地成分の読解力の必要性

 前記事までにグラム陽性菌は疎水性官能基を持った化合物に弱く、 グラム陰性菌は強い、ということを説明してきた。 この理解は、食品微生物の検査培地の成分の読解力にも関連してくる。 本記事では、グラム陽性菌とグラム陰性菌の疎 […]

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基礎講座ー食品微生物学の基礎
グラム陽性菌と陰性菌の棲家の違い、特徴、覚え方のまとめ

前記事までに、グラム陽性菌とグラム陰性菌の特徴と、これらの食中毒菌としての特性を一つの流れとして理解するために説明をした。また、これまで、グラム陰性菌は水環境に住んでいると説明してきた。そして、感染型食中毒細菌のほとんどはグラム陰性菌であると説明してきた。しかし実際のところ、感染型食中毒菌のほとんどは、海とか川とか湖の中に住んでいるわけではない。その代り、これらは、哺乳動物や鳥類の腸の中に住んでいる。これらの動物の腸内も水の豊富であり、水環境と理解できる。

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グラム陽性菌と陰性菌の特徴ー感染型食中毒と毒素型食中毒

グラム陽性菌とグラム陰性菌の違いは、食中毒菌としての側面でも関連してくる。食中毒菌は毒素型食中毒菌と感染型食中毒菌に2分できる。毒素型食中毒菌とは、菌が作り出す毒素が食品中に蓄積して、ヒトがその毒素を摂食して発症する食中毒である。一方、感染型食中毒菌の場合、ヒトに危害をあたえるのはあくまでも菌自身である。菌自身がヒトの口→胃→腸管へと侵入し、最終的に腸管粘膜上皮細胞から体内に侵入しようとする攻防の結果、発熱や下痢を引き起こす。

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