ヒスタミン食中毒の原因になりやすい食べ物

 このブログを始めて約1ヶ月が過ぎました。そろそろ、タイムリーな食品微生物の最新ニュースに対応した記事もアップしていくことにします。

10月5日に東京都は武蔵村山市の保育園でヒスタミンによる食中毒が発生と報道されました。

 この記事では、ヒスタミン食中毒の原因になりやすい食べ物とはどんな食べ物なのか、そしてそれはなぜかということを簡単に説明しておきます。

 照り焼きなどの魚を食べることが原因で、ヒスタミン食中毒が年に数回、学校給食や仕出屋で発生している。ヒスタミンはアレルギー反応を起こす刺激物質。スギ花粉症を起こす体内物質と同じものです。

「ヒスタミン生成菌」とよばれる細菌が魚肉中で増殖し、つくられます。患者の症状は、ヒスタミンが過剰に体内に入ったことによるアレルギー性ショックです。中毒症状が現れ、病院に駆け込んでも、翌日には退院できる場合も多いです。しかし、もし呼吸困難の患者の処置に手間取っていたら、命にかかわる事態もありえます。『サバの生き腐れ』と呼ばれる食当たりも、多くはヒスタミン食中毒である場合が多いです。

 さて、本題のヒスタミンが多い食べ物について説明します。
 マグロやサバ、イワシ、カツオなど血合いの多い魚では、白身魚や動物の肉より原料物質が多いです。そもそも、これらの魚には、はじめからヒスタミンが存在しているわけではなく、塩基性アミノ酸のひとつであるヒスチジンが細菌の作用によりヒスタミンに変えられることによりできます。なぜ、これらの赤身魚が白身魚より塩基性アミノ酸を多く含むかというと、白身魚より運動量が多いからです。ヒラメやタイなどの底魚は、普段は海底に潜み、敵が来たときだけ瞬発的に動くだけなので、運動量はたいしたことないです。これに対し、マグロ、イワシなどの回遊魚は、常に泳ぎまわっているので、体中にいつも疲労物質の乳酸がたまりやすくなっているのです。乳酸がたまると筋肉のPHは低下し、体によくないので、pHをあげる物質としてヒスチジンなどの塩基性アミノ酸が多いのだと考えられています。ついでに言うと、そもそもこれら回遊魚の肉が赤身で底魚が白身であるという理由も、マグロなどは運動量が多いため、筋肉のすみずみまで、効率的に酸素を運搬するための酸素運搬色素(ヘモグロビンやミオグロビン)が血液や肉に多いからです。

ヒスタミン食中毒になりやすい魚

 理屈はともかくとして、とにかく、これらの赤身の魚にはヒスタミン中毒の原因となるヒスチジンが多く、これらが細菌の作用でによりヒスタミンに変化したとき、ヒスタミン中毒がおきます。

 では、どのようにしたら、中毒をふせげるのだろうか?ヒスタミン食中毒はかつては頻繁に発生していました。それが1970年代以降の冷凍・冷蔵技術の進歩で改善した。温度を10℃以下にすれば菌の発育は抑えられます。すなわち、水揚げから調理現場まで、決して5℃以上にしないという温度管理ルールさえ守れば、ヒスタミン食中毒は防げます。
 一方、一度できてしまったヒスタミンは煮ても焼いても壊れません。この場合、色やにおいに変化はありません。唯一の兆候は、水産業者が「舌差し」と呼ぶ刺激のある味ですが、濃い味に調理すると判別は不可能になります。実際、これまでの食中毒は、照かばやり焼きや蒲焼き、フライなどの濃い味付けのメニューが多い。いったんヒスタミンが増えた食品は、捨てるしかないのです。ともあれ、ヒスタミン食中毒を防ぐには、温度管理に気をつけることが肝要ですね。