サルモネラ
サルモネラ関連の論文です
加熱食肉製品のサルモネラ管理:日本とEUに横たわる思想差
日本の食肉加工現場において、「加熱食肉製品(包装前加熱)」からサルモネラ属菌が検出されることは、絶対にあってはならない「規格基準違反」である。我々はこれを当然の前提として受け入れている。
ところが、欧州(EU)の微生物基準に目を向けると、面白い違いが見えてくる。実は、EUの食品安全基準において、豚や牛を原料とする加熱済み食肉製品には、サルモネラ不検出基準は置かれていない。この一見すると「緩い」ともとれるEUの姿勢は、決して衛生管理の手抜きではない。むしろ、科学的合理性とプロセスへの絶対的な信頼に裏打ちされた、タフな工程・環境の管理思想の現れである。本稿では、日本とEUの基準のズレを糸口に、これからのHACCPと微生物制御の本質的なあり方を考察する。
卵は洗うべきか、冷やすべきか──日米欧に見る制度と微生物リスク管理法の違い
なぜ米国や日本の卵は冷蔵されているのに、EUでは常温で売られているのか?リスク管理や科学的根拠に基づいて国や地域ごとの制度の違いを比較してみると、卵の流通管理方法の国際的な違いは、洗浄の有無を含めて非常に示唆的で興味深い。本記事では、食品微生物の立場から、日米欧における卵の取り扱いの違いを、リスク管理と科学的理解の観点から整理し、各国の制度の背景と科学的根拠を比較する。
米国のサルモネラ規制基準:鶏肉中の菌数と血清型の科学的根拠を探る
前回の記事では、米国において生の鶏肉に対するサルモネラ菌の規格基準が適用される可能性について、米国農務省の発表を紹介しました。この基準では、菌数を10 CFU/g (ml) とすることが検討されており、対象は特定の血清型(Salmonella EnteritidisやSalmonella Typhimuriumなど)に限定される見込みです。しかし、なぜこのような菌数レベルと血清型が農務省の規制対象として設定されることになったのでしょうか。今回の記事では、この米国農務省の規格基準の科学的根拠に関連する論文を紹介します。
台所でのサルモネラ交差汚染の危険性:鶏肉の正しい取り扱い方法とは?
生の鶏肉とサルモネラ。EUでは法的な規格基準が設定され、小売店で販売される生鶏肉のサルモネラの汚染対策が行なわれていますが、米国や日本では現時点では生の鶏肉に微生物規格基準は設定されておりません。生の鶏肉を取り扱う際、間違った方法で調理を進めると、サルモネラが他の食材や調理器具に移る「交差汚染」のリスクが増大します。この記事では、そのリスクを深堀りし、台所での安全な鶏肉の取り扱い方法を解説します。
カンタロープの中の隠れた脅威:果肉に潜むサルモネラ
2023年10月から11月にかけて、米国とカナダでカンタロープを原因とする大規模なサルモネラ食中毒が発生中です。アメリカで発生するマスクメロン由来のサルモネラ食中毒事件は、これまでにも多数報告されていますが、果肉内部への侵入経路は?外部の洗浄だけでは不十分な理由とは?本記事では、カンタロープの栽培過程でのサルモネラの侵入経路と、それを防ぐための最新研究を探求します。
オランダ史上最悪のサルモネラ大規模食中毒の原因食品としてのスモークサーモン(2012年)
サケがサルモネラ食中毒の原因になることは稀です。しかし、オランダでは、過去に記録された最悪のサルモネラ大規模食中毒の原因食品はスモークサーモンでした。2012年にオランダで確認されたサルモネラ食中毒(Salmonella Thompson)の概要を紹介します。推定400万から600万人のオランダ国民がサルモネラ菌に汚染されたスモークサーモンを食べた可能性があり、23,000人がS. Thompsonによる急性胃腸炎を発症したと推定されています。オランダ国立公衆衛生・環境研究所(RIVM)感染症管理センターのフリースマ博士らの報告です。
チョコレートを原因とするサルモネラ菌の食中毒リスク
チョコレートは微生物学的には安全性が高い食品です。ほとんどの製品は水分活性が低いため、常温で数ヶ月から1〜2年保存が可能です。しかし、別記事で紹介しているように(2022年4月に、ベルギー工場で生産されたチョコレートを原因とするサルモネラ菌食中毒がEUで発生)、サルモネラ菌による食中毒が稀に発生することがあります。なぜチョコレートでサルモネラ食中毒菌が起きるのでしょうか?これまでにもチョコレートによるサルモネラ菌食中毒が起きていたのでしょうか?この記事は、チョコレートにおけるサルモネラ菌食中毒のリスクについてまとめます。
養鶏場のストレス環境と鶏のサルモネラ菌感染の関係
ブラジルは世界最大の鶏肉輸出国です。日本の鶏肉の70%以上はブラジルからの輸入に頼っています。わたしたちが毎日外食レストランや食卓で食べているブラジル産の鶏肉の飼育環境が気になるところです。ブラジルののサンパウロ大学のゴメス博士らは、養鶏場の鶏に過密ストレス(1m2あたり 16羽)を与えた場合の、鶏のに与える生理ストレスとサルモネラ菌への感染の度合いを分析しました。
サルモネラ菌はどのようなメカニズムで植物の葉っぱの内部に侵入するのか?
前記事で、サラダや野菜を感染経路とするサルモネラ食中毒の原因として新鮮な植物の葉っぱにサルモネラ菌が気孔を通じて侵入するという事例を紹介しました。ではサルモネラ菌は一体どのようなメカニズムで植物の葉っぱの気孔を通じて侵入するのでしょうか?今回紹介する論文はその疑問に対する答えを提示してくれる論文です。前記事で紹介した論文と同じグループで、イスラエル農業研究機構ゴルバール博士らの研究グループの仕事です。
野菜の洗浄や殺菌で要注意!植物の葉の内部に侵入し生存・汚染するサルモネラ菌
サラダや野菜に汚染したサルモネラ菌食中毒が頻繁に世界で起きています。収穫した野菜の洗浄や殺菌は重要な対策です。しかし、このような洗浄や殺菌処理にもかかわらず、近年、新鮮または最小限に加工された葉物野菜の消費に関連したサルモネラ菌の食中毒が頻繁に報告されています。ここで重要なのはサルモネラ菌が野菜の表面だけではなく組織の内部に入り込んでしまうという現象です。









