サルモネラ

サルモネラ関連の論文です

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カンタロープの中の隠れた脅威:果肉に潜むサルモネラ

2023年10月から11月にかけて、米国とカナダでカンタロープを原因とする大規模なサルモネラ食中毒が発生中です。アメリカで発生するマスクメロン由来のサルモネラ食中毒事件は、これまでにも多数報告されていますが、果肉内部への侵入経路は?外部の洗浄だけでは不十分な理由とは?本記事では、カンタロープの栽培過程でのサルモネラの侵入経路と、それを防ぐための最新研究を探求します。

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オランダ史上最悪のサルモネラ大規模食中毒の原因食品としてのスモークサーモン(2012年)

 サケがサルモネラ食中毒の原因になることは稀です。しかし、オランダでは、過去に記録された最悪のサルモネラ大規模食中毒の原因食品はスモークサーモンでした。2012年にオランダで確認されたサルモネラ食中毒(Salmonella Thompson)の概要を紹介します。推定400万から600万人のオランダ国民がサルモネラ菌に汚染されたスモークサーモンを食べた可能性があり、23,000人がS. Thompsonによる急性胃腸炎を発症したと推定されています。オランダ国立公衆衛生・環境研究所(RIVM)感染症管理センターのフリースマ博士らの報告です。

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チョコレートを原因とするサルモネラ菌の食中毒リスク

チョコレートは微生物学的には安全性が高い食品です。ほとんどの製品は水分活性が低いため、常温で数ヶ月から1〜2年保存が可能です。しかし、別記事で紹介しているように(2022年4月に、ベルギー工場で生産されたチョコレートを原因とするサルモネラ菌食中毒がEUで発生)、サルモネラ菌による食中毒が稀に発生することがあります。なぜチョコレートでサルモネラ食中毒菌が起きるのでしょうか?これまでにもチョコレートによるサルモネラ菌食中毒が起きていたのでしょうか?この記事は、チョコレートにおけるサルモネラ菌食中毒のリスクについてまとめます。

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養鶏場のストレス環境と鶏のサルモネラ菌感染の関係

ブラジルは世界最大の鶏肉輸出国です。日本の鶏肉の70%以上はブラジルからの輸入に頼っています。わたしたちが毎日外食レストランや食卓で食べているブラジル産の鶏肉の飼育環境が気になるところです。ブラジルののサンパウロ大学のゴメス博士らは、養鶏場の鶏に過密ストレス(1m2あたり 16羽)を与えた場合の、鶏のに与える生理ストレスとサルモネラ菌への感染の度合いを分析しました。

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サルモネラ菌はどのようなメカニズムで植物の葉っぱの内部に侵入するのか?

前記事で、サラダや野菜を感染経路とするサルモネラ食中毒の原因として新鮮な植物の葉っぱにサルモネラ菌が気孔を通じて侵入するという事例を紹介しました。ではサルモネラ菌は一体どのようなメカニズムで植物の葉っぱの気孔を通じて侵入するのでしょうか?今回紹介する論文はその疑問に対する答えを提示してくれる論文です。前記事で紹介した論文と同じグループで、イスラエル農業研究機構ゴルバール博士らの研究グループの仕事です。

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野菜の洗浄や殺菌で要注意!植物の葉の内部に侵入し生存・汚染するサルモネラ菌

サラダや野菜に汚染したサルモネラ菌食中毒が頻繁に世界で起きています。収穫した野菜の洗浄や殺菌は重要な対策です。しかし、このような洗浄や殺菌処理にもかかわらず、近年、新鮮または最小限に加工された葉物野菜の消費に関連したサルモネラ菌の食中毒が頻繁に報告されています。ここで重要なのはサルモネラ菌が野菜の表面だけではなく組織の内部に入り込んでしまうという現象です。

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乾燥したサルモネラ菌のバイオフィルム細胞は熱処理、紫外線や各種薬剤・殺菌剤抵抗性を示すが、有機酸では死滅しやすい

本記事は、食品の工場などで長らく生存した細胞、すなわち乾燥に耐えたサルモネラ菌のバイオフィルム細胞が、 熱処理や各種の殺菌剤に対して強い抵抗性を示すが、有機酸では死滅しやすいことを実験的に示した論文を紹介します。イスラエル国立農業研究機構のグルズデブ博士らの実験です。

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サルモネラ菌の食品製造工場の乾燥ステンレス上での生存期間は?

これまで一般的には、乾燥した低水分活性食品(aw  0.85以下)は、微生物学的安全性に関してほとんど懸念されていませんでした。ただし、サルモネラ菌に関しては、過去20年間、穀物、種子、ナッツ、チョコレート、ドライフルーツと野菜、乾燥乳製品、スパイス、サラミ、茶など、水分活性の低い多くの食品でサルモネラ菌食中毒が起きています。

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原因究明が困難な市販野菜によるサルモネラ菌広域食中毒の原因究明事例

広域食中毒発生時に原因食品やこれらの食品の汚染ルートを疫学調査で解明することは、そう簡単な仕事ではありません。特にキュウリやレタスなどの一般野菜などが原因の場合は流通ルートが広範すぎて、原因究明は困難を極めます。今回紹介する論文は、米国の複数の州にまたがるキュウリに起因するサルモネラ菌による広域食中毒の事件解明の概要をまとめたものです。2014年の事例です。

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サルモネラ菌の血清型を次世代シークエンサーで決定ー英国では2015年からin silico MLST法を導入しています

サルモネラ菌の血清型の検査は感染経路を知るうえで重要です。しかし、これは大変な作業です。血清型を遺伝子配列によって決めることができればとても便利ですね。実はサルモネラ菌においてはそれが可能になりました。英国公衆衛生庁(PHE)は2015年から次世代シークエンサーを利用して、サルモネラ菌のin silico MLSTによって決める方法を導入しています。今回はそれに関する論文を紹介します。

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