基礎講座ー検査法(培養法)
食品微生物の検査法のなかで、培養法についての基礎事項を解説します。
冷蔵検体を翌日検査するために凍結してよいのか新着!!
「冷凍食品を前日から冷蔵庫で一晩解凍し、翌日検査する運用をどう評価するか」という質問を前回取り上げた。FDA、USDA、ISOはいずれも、必要に応じて冷凍検体を冷蔵温度帯で解凍する方法を認めている。今回は、そのちょうど逆の問題である。
食品の微生物検査に関わる方から、次のような趣旨の質問があった。
「現場で採取した冷蔵検体を冷凍蓄冷剤で保冷して持ち帰り、その日のうちに検査できない場合、いったん冷凍して翌日検査する運用はどう考えるべきだろうか。ゆっくり凍結することで菌が損傷することも気になる。」
複数の現場から検体を集めていると、検査室へ戻るのが夕方になることもある。その日のうちに微生物検査を開始するのは難しい。そこで、いったん冷凍して翌日に検査する。現場では十分にありそうな運用である。質問された方が気にしていたのは、「ゆっくり凍結すると菌が損傷しやすいのではないか」という点であった。
確かにその心配には理由がある。しかし、FDA、USDA、ISOの文書を見ると、実は論点はその一歩手前にある。問題は「急速凍結か緩慢凍結か」ではなく、そもそも採取時に冷蔵
冷凍食品を一晩解凍してから微生物検査してよいのか?―日本の規格基準とFDA・USDA・ISOの考え方
食品微生物検査について講演をしていると、現場の方から実務的な質問をよくいただく。今回取り上げるのは、次のような質問である。
「冷凍食品を前日から冷蔵庫に入れて一晩解凍し、翌日に微生物検査をしています。このような運用で問題ないのでしょうか?」
実際の検査室では、決して珍しくない運用ではないだろうか。一方、日本の冷凍食品の規格基準を知っている方なら、「公定法では冷凍したまま試料を調製することになっているはずだ」と思われるだろう。では、冷凍食品を冷蔵庫で一晩
LST vs BGLB:液体培地に見る米国(FDA/ISO)と日本の制度設計の違い
前回の記事では、寒天培地における「デソキシコレート寒天(日本)」と「VRBA(米国)」の違いを通じて、制度ごとに培地設計の意図が異なることを示した。今回はその続編として、液体培地におけるLST培地とBGLB培地の使われ方に注目し、米国(FDAやISO規格)と日本の制度設計の“構造そのものの違い”を見ていきたい。
大腸菌群という検査対象は同じであっても、「どの培地をどの順番でどう使うか」という設計は、制度の背景思想を色濃く反映している。LST → BGLBという二段階構成の米国・ISO方式と、BGLB単独で始める日本方式──この2つの方式を比べることで、なぜ検査の進め方が違うのか、その背景と実務への影響が理解できるはずである。
「デソキシコレート寒天」vs「VRBA」──成分の違いと検査現場への影響を整理する
日本の食品衛生検査では、「大腸菌群(Coliforms)」検査が多くの食品で行われている。大腸菌群検査はEUでは2005年に廃止されているが、米国では乳製品分野に限定して今でも採用されている。しかし、米国と日本では、同じ大腸菌群検査でも使用している培地と検査手順に決定的な違いがある。本記事では、デソキシコレート寒天(DC寒天)とバイオレットレッド胆汁寒天(VRBA)の違いを成分レベルで掘り下げ、それぞれの培地が現場にもたらす影響までを具体的に整理する。
リステリアの鑑別平板培地の原理を説明します
前の記事でリステリアの選択増菌培地としてのFraser培地の原理を説明した。本記事では、リステリアの鑑別平板培地の原理について説明する。 ISO法(および日本の公定法)では、Half Fraser培地およびFraser培地の増菌液を、原理の異なる二系列の鑑別平板培地に画線塗抹する。第一系列では、ALOA培地を用い、第2系列では、オックスフォードまたはPALCAM寒天培地を用いる。この二系列では原理が異なる。本記事では、これらの二系列の鑑別平板培地培地の原理について説明する。
Fraser培地:民間企業の女性研究者が開発したリステリア属菌検出法の原理と応用
Fraser培地とHalf Fraser培地はリステリア属菌の選択的増菌にISOで推奨される標準手法である。この記事では、これらの培地がリステリア属菌を効率的に選択し、鑑別する理由を解説する。特に、民間企業の女性研究者であるJudy A. Fraser博士が開発に寄与したこの培地の開発背景と科学的原理に焦点を当て、理解を深める。
黄色ブドウ球菌の検査培地の完全マスター
黄色ブドウ球菌の検査において、日本は長年、卵黄加マンニット食塩培地を主流としていた。一方、国際基準ではBaird-Parker寒天培地が推奨されていた。2015年、日本はBaird-Parker寒天培地を公式に採用し、国際標準化へと舵を切ったが、卵黄加マンニット食塩培地は依然として代替法として広く使用されている。この記事では、これらの培地の原理を初学者にも理解しやすく解説する。
初心者向け: ISO法による大腸菌検査の酵素基質培地法 - シンプルに解説
EUでは食品中の大腸菌の検査に、酵素基質培地法が一般的に採用されている。日本の食品業界でもこの方法に注目が集まり、多くの企業が自主検査に導入している。では、培地の選び方や培養温度は?本記事では、国際的に認知されたISO標準法に基づく大腸菌の検査手法を詳しく解説する。
大腸菌の酵素基質培地:その本当の役割とは?
日本における食品安全規制では、糞便系大腸菌群(E.coli、ブロック体)の検査に関する規格基準が設定されている。以前、サイエンスフォーラムで実施した食品微生物学入門講座の受講生と個別質疑を行っている際に、この会社の日常的な自主検査において、糞便系大腸菌群の検査(E.coli、ブロック体)から、β-グルクロニダーゼ活性を用いた酵素基質培地に切り替えたいと上司に話したところ、この培地では、大腸菌O157がカバーできていないのでダメだと言われたという経験を私に話されたことがある。この記事では、本当にそうなのか?このような理解の仕方が見落としている盲点について解説し、また、改めて、指標菌培地としての酵素基質培地の役割を整理してみたい。
一般生菌数の測定方法
plate count,)は、食品企業で勤務しているものなら、誰しもが日常的に行っている微生物検査である。この記事は、食品微生物学の超入門者向けに一般生菌数の測定方法を説明する。









