カンピロバクター

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米国における生ガキによるカンピロバクター食中毒:水産物の知られざる危険

昨年、日本で流しそうめんによるカンピロバクター食中毒事件が発生し、その意外性が注目を集めました。同様に、米国でも昨年暮に、カンピロバクター食中毒の意外な原因食品としてカナダ・ブリティッシュコロンビア産の特定の生ガキによるカンピロバクター食中毒が報告されました。これらのケースは、一見カンピロバクター食中毒の原因と無関係と思える食品からの食中毒リスクを浮き彫りにしています。実は、生ガキによるカンピロバクター食中毒は、新たなケースではなく、2021年にも米国ロードアイランド州で食中毒事件が起こっています。本記事では、これらの生ガキに起因するカンピロバクター食中毒の事例を詳しく探り、その背景と予防策について解説します。

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井戸水と湧き水:カンピロバクター食中毒の隠れたリスクを徹底解説

最近、流しそうめんによるカンピロバクター食中毒が報道され、多くの人々が驚きました。特に、新食品微生物学入門講座で学ぶ受講者からは、井戸水や湧き水がこのようなリスクを孕んでいるとは知らなかったとの声が寄せられました。この記事では、湧き水や井戸水がどのようにカンピロバクターのリスクを高めるのか、科学的な視点から解説します。また、日常的な微生物検査だけでは病原菌を検出しきれない可能性についても深掘りします。特に、微生物検査の陰性結果に過度に安心してしまう危険性については、食品製造業の品質管理者に警鐘を鳴らす内容となっています。

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牛肉のカンピロバクター食中毒リスク!焼肉店での事例から考える

 2023年5月の連休前の4月21日、22日に福島県福島市の焼肉店で食事をした男女18人がカンピロバクター食中毒になったニュースが報道されました。報道によれば、焼肉店で提供された牛肉の加熱が不十分だった可能性が指摘されています。そこで、本記事では、日本の牛肉がどの程度カンピロバクターに汚染されているのかを調査した研究例を紹介し、牛肉によるカンピロバクター食中毒リスクについて解説します。

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1977年以降に人類が認識した食中毒細菌、その歴史とは?(カンピロバクター編)

  カンピロバクター、大腸菌O157、ノロウイルスなど、現在の食中毒微生物の主役たちは、いつ頃人類が認識するようになったのでしょうか?実は、これらの微生物はすべて、比較的新しい存在であり、1977年以降に登場しました。この記事では、カンピロバクターがどのようにして研究史上に登場したかに焦点を当て、その歴史を掘り下げてみます。

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腸内細菌叢の多様性が不足するとカンピロバクター腸炎になりやすい

腸内細菌叢が多様なら外来病原菌を駆除する能力があるのではないかと、一般的には推測されています。しかし、このことを実際に科学的な観点からデータを示した報告は多くは存在しません。特にヒトに関しては殆どデータがありません。今回紹介する論文は、このことを科学的なデータで示した例です。カンピロバクター腸炎に関する報告です。ボランティア実験者の腸内細菌を調べた結果、やはり腸内細菌の多様性がある人の方がカンピロバクター腸炎にはなりにくいようです。

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鶏肉の冷蔵肉や冷凍肉ではカンピロバクターの生存期間はどれくらいなの?

 鶏肉を冷蔵や冷凍保存すると、カンピロバクターの生存期間はどれくらいで、どれぐらいの速度で死滅するのでしょうか?この記事では冷蔵庫や冷凍庫に入れた鶏肉中におけるカンピロバクターの死滅の割合を定量的に測定した論文を紹介します。その結果、冷凍や冷蔵した鶏肉もカンピロバクターの重要な感染経路になることが示されました。

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鶏もカンピロバクターで下痢をすることがある

今回はちょっとユニークな論文を紹介します。カンピロバクターはヒトに感染すると下痢や発熱などの腸炎を起こしますが、養鶏場で飼育されている健康な鶏にとって無害であると考えられています。つまり健康な鶏の腸内にカンピロバクターが生息していても鶏には感染せず、無症状と考えられています。このことについてはこれまでいくつかの実験でも確かめられています。また、世界中の養鶏場での実態でもそのことは確認されています。

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カンピロバクターのバイオフィルム戦略とは?

カンピロバクターは微好気性の性質であるため、空気中の酸素濃度では徐々に死滅します。環境中で様々なストレスにより損傷菌状態、もしくは、VBNC(生きているが培養できない細胞) になっていることも知られています。しかしこれらの損傷菌状態や VBNC が実際に感染経路として役割を果たし、感染を起こすことができるかについてはまだ議論の余地があるところです。

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カンピロバクター食中毒の感染経路は鶏肉以外もあるの?

カンピロバクター食中毒の原因となる食べ物は鳥刺しなどの鶏肉。一般的に私達はこのように考えています。しかし、カンピロバクターは養鶏場の鶏だけではなく、 牛、豚、羊、ヤギなどの家畜や、野生動物、野鳥などの腸内からも頻繁に検出されます。だから私たちの食品流通の過程で、これらの動物の肉などが感染経路になっても不思議ではありません。ではカンピロバクター食中毒が鶏肉由来である割合は統計的に果たしてどれぐらいでしょうか??今回はこのことに関する論文を紹介してみたいと思います。

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