スペインでもリステリア食中毒の増加:高齢化社会の新たな挑戦
以前、スウェーデンでリステリア食中毒が高齢化社会に伴い増加していることを紹介しました。本記事では、スペインに関しても同様の報告が2024年に出版されていますので紹介します。2001年から2021年までの過去20年間におけるスペインでのリステリア症感染者数およびその患者の内訳について、詳細な統計データが収集されました。その結果、過去20年間でリステリア症患者は増加傾向にあることが確認されました。特に注目すべきは、妊婦や健康な人の患者数に比べて、高齢者および基礎疾患を持つ患者数の増加が顕著である点です。スペインも他のEU諸国と同様に高齢化が進んでおり、高齢化に伴ってリステリア症のリスクがますます高まっているようです。
食品の殺菌におけるF値とF0値について超わかりやすく解説します!
食品殺菌の理論について混乱する入門者の皆様、その心配はもう不要である。D値、Z値、そしてF値という専門用語がややこしく感じるかもしれないが、今回の記事ではF0値を超簡単に理解できるように説明する。殺菌理論が苦手という人ほど、この記事は役に立つだろう。さらに、具体的な応用例として、日本のレトルト殺菌法(120°Cで4分間)が国際基準のF0値にどのように換算され、ボツリヌス菌に対する安全性(F0=3)が保証されているかも一緒に探求する。この記事を通じて、殺菌理論の基本が理解でき、実践的な知識が得られるだろう。
年末のブログ更新スケジュールについて
いつも当ブログをご愛読いただき、心から感謝申し上げます。
さて、本日は少し長めの休暇について、皆様にお知らせします。
まず、12月16日(月)から12月30日(月)まで、私事ではございますが、クリスマス休暇をいただくことになりました。ここの間、ブログの更新をお休みさせていただきます。
この間、皆様からいただくご質問やコメントには、休暇明けに順次対応させていただきます。
新しい年が皆様にとって学びと発見に満ちた素晴らしいものとなりますように。来年も、皆様の知識の一助となるブログをお届けすることを楽しみにしています。
ブログ記事は1月6日(月)から再開します。
米国FDAがリステリア・モノサイトゲネスではなくリステリア属菌の環境モニタリングを推奨する理由とは?
食品製造工場における環境モニタリングプログラムでは、Listeria monocytogenesの検出が重要視されています。しかし、米国FDAのガイドラインでは、まずリステリア属菌を指標菌としてモニタリングを行うことで十分な効果が得られるとされています。本記事では、リステリア属菌のモニタリングが推奨される理由と、米国における具体的な事情について詳しく解説します。
微生物の定性検査結果から菌数を推測 ②- 対数正規分布と標準偏差活用ガイド
食品の安全性評価に不可欠な微生物濃度の精密推定は、統計学の力を借りて正確性を担保できる。特に、ランダムに発生する微生物の分布を予測するポアソン分布と、豊富なデータからの統計量を活用する対数正規分布の理解は、食品中の微生物濃度を正確に求める上で欠かせない。前記事でポアソン分布に基づく予測法を解説した。今回はデータが豊富な場合に適用される対数正規分布に焦点を当て、その使い方を解説する。この知識を武器に、微生物検査結果の解釈にに一層の厳密さを身に着けよう。
微生物の定性検査結果から菌数を推測①-ポアソン分布公式でやてみよう
食品の品質管理には、初期の微生物数を正確に把握することが不可欠である。食中毒菌の濃度をどのように推測するかは、食品の安全性と消費期限の設定に直結する。この記事では、定量法が困難な場合でも、定性検査の結果を基に菌数濃度を見積もる統計的アプローチについて、数的処理が苦手な人でもわかるように解説する。読者の食品企業が直面する日々の課題に対する実践的な解決策を提供する。
遂に中国で初めてリステリア食中毒原因食品が特定された!
中国もこれまで日本と同様、リステリア感染症は病院では多数症例が見られるものの、 その原因食品が疫学的解析で明確に特定された事例は存在していませんでした(日本では2001年の北海道のソフトチーズ事例のみは食中毒として原因食品特定)。この度、中国で初めてリステリア症の原因食品が特定されました、その事例を紹介します。
米国初、カリフォルニア州で食品の消費期限設定が義務化
以前、このブログでEUや日本における消費期限や賞味期限の考え方について紹介しました。では、米国ではどうでしょうか? 実は驚くべきことに、これまで米国では消費期限や賞味期限の表示が法律で義務化されていませんでした。しかし、今回カリフォルニア州が米国で初めて、期限表示の法制化に踏み切りました。本記事ではその詳細についてご紹介します。