カナダでアーモンドミルクによるリステリア食中毒が発生しました(カナダ公衆衛生庁発表、7月17日)。植物由来の牛乳が健康的なイメージを持つ中での発生に、カナダのモントリオールでは驚きが広がっています。

アーモンドミルク

アーモンドミルクからリステリア検出、リコール(7月9日)

 カナダ公衆衛生庁は2024年7月8日、Silk®およびGreat Valueブランドの植物性冷蔵飲料の一部にリステリア菌が混入している可能性があるとしてリコールを発表しました。

 商品を購入した可能性のあるオンタリオ州の住民には、冷蔵庫にリコール製品がないか確認し、発見された場合は直ちに廃棄するか、購入した場所に戻すよう勧告しました。特に高齢者、妊婦、免疫力の弱い人など、リステリア症のリスクが高い人々に対して、これらのリコール製品を摂取しないよう強く勧告しました。

顕微鏡を見ながら驚く2人の研究員

 また、7月8日現在、オンタリオ州では、現在進行中のリステリア感染症調査の一環として、リコール製品に関連するリステリア症の確定症例が9件報告されており、このアウトブレイク調査に関連した入院患者は5人であると発表しました。

アーモンドミルクからリステリアのアウトブレイクを確認(7月17日)

 最近、カナダ、米国、EUの主要な国においては、リステリアのアウトブレイクについてリコール製品の全ゲノム解析を行い、これまで病院ベースでリステリア症として確認されていた臨床株を中央データベースで比較する方法が取られています。これにより、過去数年間にわたって未解明であったリステリア症の散発事例が、原因食品と結びつく事例が急速に増えています。今回の事例もその一例です。

パソコンを見ながら話す研究員

 Great ValueSilkおよびブランドの植物性冷蔵製品のリコールを発表(7月8日)してからわずか10日後の7月17日、カナダ公衆衛生庁リステリア菌によるアウトブレイクが特定されたと発表しました。

 カナダ公衆衛生局によれば、オンタリオ州で10人、ケベック州で1人、ノバスコシア州で1人が感染し、そのうち9人が入院し、2人が死亡していることが確認されました。感染者の67%は女性で、年齢は37歳から89歳、58%が60歳以上です。感染した12人のうち9人は先月か今月初めに発症しています。

アーモンドミルクの患者数時期別推移

このアウトブレイクは植物性ミルクが感染源となったことが特異的であり、人々は植物性ミルクを健康的な代替品と考えているため、驚きと懸念が広がっています。

アーモンドミルクの前で驚くカナダの女性たち

まとめ

 リステリア感染は基本的に、消費者がその食品を購入し、自分で加熱調理などをせずにそのまま食べるready-to-eat食品で起きます。今回のように健康的で植物由来のヘルシーなミルクでもリステリア食中毒が起こり得ることが分かりました。すべてのready-to-eat食品を扱う食品業者は、リステリアに対して十分な注意を払う必要があることが改めて確認されました。

工場で話し合う2人の日本人研究員

 なお、2024年7月20日時点では、アーモンドミルクにリステリアが混入した原因は判明していません。新たな情報が分かり次第、改めてお知らせいたします。