セレウス菌
炊飯米の冷却におけるセレウス菌の危険:食中毒を防ぐための正確な温度と時間

最近、青森県八戸市の弁当業者に起因する全国規模の食中毒事件が発生し、関連するセレウス菌が注目を浴びています。この菌は、耐熱芽胞菌の一種で、炊飯時の温度で芽胞が死滅することはありません。不適切な温度管理により、菌が増殖し、食中毒を引き起こす可能性があります。ここで、セレウス菌の発芽と増殖リスクに関する正確な冷却の温度と時間について、読者の皆様はどれほどご存知でしょうか?リスク管理には、これらの詳細なデータが必要不可欠です。本記事では、米国農務省の研究者による、炊飯米におけるセレウス菌の増殖と冷却速度の関連性についての重要な調査結果を解説し、セレウス菌食中毒の予防策について詳細に探ります。

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■ 食品微生物の基礎講座
大腸菌の酵素基質培地:その本当の役割とは?

日本における食品安全規制では、糞便系大腸菌群(E.coli、ブロック体)の検査に関する規格基準が設定されている。以前、サイエンスフォーラムで実施した食品微生物学入門講座の受講生と個別質疑を行っている際に、この会社の日常的な自主検査において、糞便系大腸菌群の検査(E.coli、ブロック体)から、β-グルクロニダーゼ活性を用いた酵素基質培地に切り替えたいと上司に話したところ、この培地では、大腸菌O157がカバーできていないのでダメだと言われたという経験を私に話されたことがある。この記事では、本当にそうなのか?このような理解の仕方が見落としている盲点について解説し、また、改めて、指標菌培地としての酵素基質培地の役割を整理してみたい。

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カンピロバクター
井戸水と湧き水:カンピロバクター食中毒の隠れたリスクを徹底解説

最近、流しそうめんによるカンピロバクター食中毒が報道され、多くの人々が驚きました。特に、新食品微生物学入門講座で学ぶ受講者からは、井戸水や湧き水がこのようなリスクを孕んでいるとは知らなかったとの声が寄せられました。この記事では、湧き水や井戸水がどのようにカンピロバクターのリスクを高めるのか、科学的な視点から解説します。また、日常的な微生物検査だけでは病原菌を検出しきれない可能性についても深掘りします。特に、微生物検査の陰性結果に過度に安心してしまう危険性については、食品製造業の品質管理者に警鐘を鳴らす内容となっています。

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■ 世界最新ニュース
ミルクシェーキによるリステリア食中毒の死亡事例(米国ハンバーガーレストラン)

アイスクリームによるリステリア食中毒の事例(前記事で紹介)に引き続き、米国でハンバーガーレストランが提供したミルクシェーキによる食中毒が発生しました。2023年8月18日、米国ワシントン州保健局は、レストランのドライブスルーで提供されたハンバーガーに関連し、6人が感染し、そのうち3人が命を失うという悲劇が起きたことを公表しました。この記事では事件の詳細と背景を解説し、免疫力の低い基礎疾患を抱える感染者たちに焦点を当てます。食品安全に対する懸念が高まる中、我々はこの問題にどう向き合うべきなのでしょうか。

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■ 世界最新ニュース
米国で再びアイスクリームによるリステリア食中毒

米国では、今年の8月に米国で再びアイスクリームによるリステリア食中毒が発生しました。患者はニューヨーク州とペンシルバニア州と別々の州に在住ですが、同じメーカーのアイスクリームを食べてリステリア症になったと推定されています。この記事では、この事件の概要を説明し、またなぜアイスクリームでリステリア症になるのかについても簡単に解説を加えたいと思います。

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■ 世界最新ニュース
Netflixでの新配信ドキュメンタリー『ポイズニング: 食に潜む汚れた真実』について

 8月2日、Netflixで配信が開始されたドキュメンタリー『ポイズニング: 食に潜む汚れた真実』は、過去に米国で発生した主な細菌性食中毒事件に焦点を当てています。この作品には、食中毒の被害者の実際の映像や声が収録されており、ブログだけでは伝えきれない食中毒の真実の恐ろしさや実態が詳しく描かれています。腸管出血性大腸菌、リステリア、サルモネラなどによる細菌性食中毒が、普通の子供や十代の若者の人生にどれほどの重大な影響をもたらすか(死亡や後遺症を含む)、その社会的責任の重さを痛感させられる作品となっています。このドキュメンタリーを、日本の食品企業の品質管理担当者も含め、多くの人に見ていただきたいと思います。

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基礎講座-HACCPと微生物検査
EUにおける食品工場の環境モニタリングのための統一プロトコル(リステリア菌)

食品製造工場の環境モニタリングには、ISO規格に具体的なプロトコルが提示されていない。しかし、実際の現場でモニタリングを行う際には、具体的なプロトコルの存在が便利である。そこで、EUの専門家たちは2012年に、特に重要なリステリア菌に対して統一プロトコルの策定に取り組んだ。本記事では、このプロトコルの内容を詳しく紹介する。なお、本記事はリステリア菌に焦点を当てているが、食品工場での微生物サンプリング方法の基本を提供しているため、食品微生物学の初心者にとっても、是非、目を通していただきたい内容となっている。

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黄色ブドウ球菌
黄色ブドウ球菌のエンテロトキシンAによる嘔吐メカニズムの解明

  黄色ブドウ球菌は典型的な毒素型食中毒菌であり、その症状は嘔吐です。また、黄色ブドウ球菌はエンテロトキシンAを産生することが知られています。しかしながら、このエンテロトキシンAが具体的にどのように嘔吐を引き起こすのかは、これまで謎とされていました。しかし、2019年、北里大学の小野久弥博士らが世界で初めてこのメカニズムを解明しました。この記事では、博士らの研究結果を紹介します。黄色ブドウ球菌が引き起こす嘔吐の仕組みについて、驚くべき新たな知見が明らかにされました。

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食品工場衛生管理における微生物検査ー環境モニタリング
食品製造施設におけるATP検査と微生物検査の有効性:豆腐製造施設のケーススタディ

 食品産業において、洗浄と衛生の監視のため、迅速なATP検査が広く使われています。本記事では、豆腐製造施設においてATP検査と微生物検査を行ったケーススタディを紹介し、ATP検査の有効性を検証しました。汚れの取れにくい標的箇所を絞り込んだ重点洗浄活動の介入前と介入後で検証した結果、ATP、一般生菌数、乳酸菌の衛生要件を満たさないスワブの割合が減少しました。本記事は、豆腐製造施設だけでなく、食品製造施設全般においてATP手法を用いた衛生監視の参考になります。

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基礎講座ー食品工場での洗浄、殺菌方法
食品工場の清浄度管理に役立つATP試験とは? わかりやすく解説!

 食品工場で洗浄殺菌後に清浄度を確認する方法としてATP試験は効果的な手法である。この記事では、ATP試験の基本概念について、わかりやすく解説する。

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