Netflixでの新配信ドキュメンタリー『ポイズニング: 食に潜む汚れた真実』について
8月2日、Netflixで配信が開始されたドキュメンタリー『ポイズニング: 食に潜む汚れた真実』は、過去に米国で発生した主な細菌性食中毒事件に焦点を当てています。この作品には、食中毒の被害者の実際の映像や声が収録されており、ブログだけでは伝えきれない食中毒の真実の恐ろしさや実態が詳しく描かれています。腸管出血性大腸菌、リステリア、サルモネラなどによる細菌性食中毒が、普通の子供や十代の若者の人生にどれほどの重大な影響をもたらすか(死亡や後遺症を含む)、その社会的責任の重さを痛感させられる作品となっています。このドキュメンタリーを、日本の食品企業の品質管理担当者も含め、多くの人に見ていただきたいと思います。
EUにおける食品工場の環境モニタリングのための統一プロトコル(リステリア菌)
食品製造工場の環境モニタリングには、ISO規格に具体的なプロトコルが提示されていない。しかし、実際の現場でモニタリングを行う際には、具体的なプロトコルの存在が便利である。そこで、EUの専門家たちは2012年に、特に重要なリステリア菌に対して統一プロトコルの策定に取り組んだ。本記事では、このプロトコルの内容を詳しく紹介する。なお、本記事はリステリア菌に焦点を当てているが、食品工場での微生物サンプリング方法の基本を提供しているため、食品微生物学の初心者にとっても、是非、目を通していただきたい内容となっている。
黄色ブドウ球菌のエンテロトキシンAによる嘔吐メカニズムの解明
黄色ブドウ球菌は典型的な毒素型食中毒菌であり、その症状は嘔吐です。また、黄色ブドウ球菌はエンテロトキシンAを産生することが知られています。しかしながら、このエンテロトキシンAが具体的にどのように嘔吐を引き起こすのかは、これまで謎とされていました。しかし、2019年、北里大学の小野久弥博士らが世界で初めてこのメカニズムを解明しました。この記事では、博士らの研究結果を紹介します。黄色ブドウ球菌が引き起こす嘔吐の仕組みについて、驚くべき新たな知見が明らかにされました。
食品製造施設におけるATP検査と微生物検査の有効性:豆腐製造施設のケーススタディ
食品産業において、洗浄と衛生の監視のため、迅速なATP検査が広く使われています。本記事では、豆腐製造施設においてATP検査と微生物検査を行ったケーススタディを紹介し、ATP検査の有効性を検証しました。汚れの取れにくい標的箇所を絞り込んだ重点洗浄活動の介入前と介入後で検証した結果、ATP、一般生菌数、乳酸菌の衛生要件を満たさないスワブの割合が減少しました。本記事は、豆腐製造施設だけでなく、食品製造施設全般においてATP手法を用いた衛生監視の参考になります。
食品工場の清浄度管理に役立つATP試験とは? わかりやすく解説!
食品工場で洗浄殺菌後に清浄度を確認する方法としてATP試験は効果的な手法である。この記事では、ATP試験の基本概念について、わかりやすく解説する。
北京の病院で明らかになった妊婦のリステリア症の実態: 2013年~2018年の調査結果
リステリア症は妊娠中の母親と胎児に重大な健康リスクをもたらすことがありますが、中国での妊婦のリステリア症の発生状況については十分に認識されていません。この記事では、北京産科婦人科病院で2013年から2018年の6年間に確認された妊婦のリステリア症例数について報告した、李博士率いる首都医科大学北京産科婦人科病院の研究チームの論文を紹介します。この研究は、中国でのリステリア症の実態を理解するための重要な一歩となります。
ショッピングカートは微生物の温床?
前回の記事で携帯電話の微生物汚染についてご紹介しましたが、ショッピングカートの微生物汚染についてお伝えします。アリゾナ大学のゲルバ博士らによると、日常的な消毒が見落とされがちなショッピングカートは、清掃員が頻繁に清掃する公衆トイレやおむつ交換台の表面よりも多くの細菌が存在しているようです。この研究結果により、私たちの健康に与える影響を考えさせられます。今回の記事では、その詳細と対策方法についてお伝えします。
携帯電話にはどんな微生物が付着しているの?
日常的に使っている携帯電話には、知らないうちに数多くの微生物が付着しているかもしれません。一体どのような微生物がそこに潜んでいるのでしょうか?また、携帯電話が病原微生物の感染原因になる可能性はあるのでしょうか?ここでは、2005年から2019年にかけて出版された研究結果を基に、携帯電話に付着する微生物の実態に迫ります。
食中毒の裏側:米国レストランでの発生原因、従業員の健康状態が鍵を握る
レストランで食事をする時、従業員の健康状態を気にしたことはありますか?実は、米国で発生する食中毒の約40%が体調不良の従業員から起きているという事実があります。今回発表されたCDCの調査によると、経営者の92%が従業員に体調不良時の報告義務を課していると回答しましたものの、その方針が明文化されている店舗は66%にとどまります。更に驚くべきは、FDAが推奨する「休職が必要な5つの症状」を全て盛り込んだポリシーを採用している店舗はわずか23%だということです。
再発!生のクッキー生地でサルモネラ食中毒(米国事例)
米国で、生の小麦粉生地を原因とするサルモネラ食中毒が再発しています。以前にも当ブログでは生のクッキー生地によるサルモネラ食中毒や腸管出血性大腸菌の問題について触れてきましたが、今回、再度、食中毒がおきてしまいました。米国での生のクッキー生地の摂取に対する注意喚起は、まだまだ必要なようです。