基礎講座-HACCPと微生物検査
HACCP管理下における微生物検査関連の記事です。
EUにおける食品工場の環境モニタリングのための統一プロトコル(リステリア菌)
食品製造工場の環境モニタリングには、ISO規格に具体的なプロトコルが提示されていない。しかし、実際の現場でモニタリングを行う際には、具体的なプロトコルの存在が便利である。そこで、EUの専門家たちは2012年に、特に重要なリステリア菌に対して統一プロトコルの策定に取り組んだ。本記事では、このプロトコルの内容を詳しく紹介する。なお、本記事はリステリア菌に焦点を当てているが、食品工場での微生物サンプリング方法の基本を提供しているため、食品微生物学の初心者にとっても、是非、目を通していただきたい内容となっている。
食品工場衛生管理における微生物検査ー環境モニタリングの重要性
食品製造工場では、HACCPに加えて、食品製造工場の環境微生物モニタリング(Environmental monitoring program; EMPプログラム)が不可欠となる。HACCPの運用だけでは微生物による食中毒事故を防げないことが、これまでの多くの食中毒事例やリコール事例から示されているからだ。この記事では、食品製造工場環境の微生物モニタリングの基礎について解説する。
国際食品微生物規格委員会(ICMSF)やEUにおける食品微生物検査サンプリングプランをわかりやすく説明します
食品の微生物検査において、「陰性」判定の持つ意味は、サンプリング方法(サンプリングプラン)によって異なる。本記事では、国際食品微生物規格委員会(ICMSF)のサンプリングプランをわかりやすく説明する。このサンプリングプランはEUの食品安全基準や工程衛生基準で採用されている。サンプリングプランにおいては、その内容自体を理解することよりも(これは簡単に理解できる)、「なぜそのようなサンプリングプランになるのか?」を理解することのほうが重要である。この記事では、初心者のために、「なぜ?」を重点を置いて解説をする。
食品の微生物検査の目的と精度計算法をわかりやすく説明します
食品の微生物検査の目的を正しく理解し、その精度について理解しておく必要がある。微生物検査ではどれぐらいの確率で正しく汚染食品を検出できているのだろうか。例えば汚染率10%の食品サンプルをn=3で微生物検査をした場合に、偽陰性の結果を出してしまう確率は?あるいは、汚染率10%の食品サンプルを95%の精度で分析するためには何サンプル分析すればいいのか。本記事では、これらの算出を自分でExcel計算できるようになるために、分かりやすく、順を追って解説する。
HACCP導入により微生物検査は必要なくなるの?どの微生物検査が残るの?
HACCP義務化の背景には、工程管理により微生物検査を減らしていくという考え方がある。分布及び存在量の少ない危害微生物のリスク判定に、最終製品の数少ないサンプルを抜き打ち検査しても、安全性を担保出来ないからである。では、HACCP導入により微生物検査は必要なくなるだろうか?微生物規格基準を証明する検査以外に、どのような微生物検査が残るのか?本記事ではHACCPに基づく衛生管理における微生物検査の在り方の基本事項について整理する。