増殖制御・消費期限
消費期限設定するために、消費者の冷蔵庫温度を何°Cと仮定すべきか?新着!!
欧州連合(EU)では、食品事業者が消費期限を科学的に設定する際、消費者の家庭用冷蔵庫の温度をどのように想定すべきかが大きな関心事となっています。これまで12℃が想定温度の目安とされていましたが、最近の広域調査により、実際の家庭環境を反映した温度として「10℃」が新たに推奨されるようになりました。今回紹介する研究では、欧州16カ国の冷蔵庫温度データを解析し、この「10℃」という数値が、より現実的で妥当な想定値であることが示されています。
※なお、この研究はリステリア菌のリスク評価を想定したShelf-life試験の文脈で実施されていますが、示された冷蔵庫温度データは消費期限設定全般にも応用可能な基礎情報となっています。
英国における消費期限切れ食品への意識:消費者と事業者の視点
消費期限と賞味期限、消費者にとって紛らわしい言葉ですね。この事情は英国でも同じようです。消費期限を超えた食品を販売することについて日本より厳格な法的枠組みを持つ英国。その英国における一般消費者と食品事業者がどのような視点を持っているかについて本記事では紹介します。 2023年11月に英国食品基準庁が発表した消費期限切れ食品に関する消費者と事業者の意識調査結果を詳しく解析し、具体的な事例と共に紹介します。
EFSAによる消費期限設定法ガイドライン
前の記事では、EUの食品事業者が自社製品に賞味期限と消費期限のどちらの表示を施すかについて、EFSAが示した判断基準ガイドラインを紹介しました。この記事では、消費期限表示が適用される場合に、どのような日数を消費期限に設定すべきかに関するEFSAのガイドラインの内容について説明します。
消費期限VS賞味期限:EFSAが提供する明確なガイドラインと便利なフローチャートで判断を簡単に!
自社の製品について、賞味期限と消費期限、どちらを製品に設定するべきか迷う食品事業者も多いのではないでしょうか。この課題はEUの食品事業者も同様であり、欧州食品安全機関(European Food Safety Authority、EFSA)は、欧州委員会の依頼を受けてガイドラインを作成しました。2020年に発行されたこのガイドラインは、HACCP(危害分析重要管理点)の考え方を取り入れ、食品のリスクを科学的根拠に基づいて評価する方法を提供しています。特に、食品事業者が簡単に利用できる直感的なフローチャートを用意し、製品ごとにどちらの期限を設定すべきかを判断できるよう設計されています。本記事では、このフローチャートの具体的な内容を解説するとともに、EU方式と日本方式の違いについても触れます。科学的で柔軟なEFSA方式を知ることで、より合理的な期限設定が可能になるはずです!
スモークサーモンのリステリア増殖を抑える方法とは?サーモン寿司にも注意が必要な理由
スモークサーモンによるリステリア食中毒は、特にEUで頻発している問題です。しかし、サーモン加工工場でのリステリア菌の二次汚染を完全に防ぐことは困難です。そこで、流通段階でのリステリア増殖を抑制する方法が求められています。本記事では、スイスのチューリッヒ大学のエイチェール博士が提案する、高濃度(30%)の乳酸ナトリウム(NaL)を冷製スモークサーモンに注入する方法を紹介します。さらに、サーモン寿司においてもリステリアに注意が必要な理由を解説します。
ナイシンと有機酸の組み合わせでリステリア菌を制御!調理済み食品の安全性を向上させる方法
リステリア菌は食品工場での混入リスクが高いことで知られていますが、本菌は食品製造工場でバイオフィルムを形成しやすく、調理済み食品(RTE)製品への混入の完全防止は必ずしも容易ではありません。そこで米国で注目されているのが、流通段階でのナイシンと有機酸を組み合わせた制御方法です。本記事では、この方法が調理済み食品のリステリア菌制御にどのように役立つかを解説します。RTE製品の安全性を高めるために、ぜひ一読してみてください。