食品工場-殺菌剤メカニズムで重要な共通理解

殺菌剤メカニズムで重要な共通理解

 次のセクション以降、代表的殺菌剤いくつかの代表的なものについて、要点を説明していきたい。 これらの一つ一つの殺菌剤について説明をして行く前にまず共通理解として次のことを述べておきたいと思う。以下に記すことはとても重要なのでぜひ理解していただきたい。

 この世の中には色々な殺菌剤が存在するが、これらの殺菌剤の最も共通で、且つ必ずと言っていいほど標的となるのが、細胞の外側、すなわち細胞膜である。細胞膜はリン脂質二重膜で作られている。従って疎水性の官能基などを持っている化合物はもちろんのこと、その他の各種薬剤によって壊れやすい。多くの殺菌剤のメカニズムはまず細胞膜が壊れることである。そしてその結果細胞内の内容物が細胞の外に飛び出す。この単純な理解が重要である。

私は毎日微生物の殺菌剤に関する論文の投稿を学術雑誌の編集委員として目を通しているが、ともすればデータ作りのためのデータのような論文が多い。例えば DNA が標的となって壊れるとか、たんぱく質が破壊されるなどというようなことを事細かにデータとして提示している論文が多数ある。もちろんこれは間違いではない。しかしこれらの薬剤はそもそも DNA を標的として壊す前に細胞膜が壊れているはずである。細胞膜が破壊されるか攪乱された時点で微生物は概ね増殖を停止するか死滅しているはずである。

あえてこのような文章を書くのがこれから述べている殺菌剤の全ての共通事項として細胞膜の破壊や攪乱がとても重要であるという一番基本的なところを理解しいただきたいからである。