はじめに
以下に食品における有害微生物との戦い方について概略を述べていくこととする。微生物との戦い方についてはここに示す3段階で整理して説明をしたい。
第1に、食品製造工場での微生物汚染との戦い方である。この戦略はさらに洗浄と殺菌に分けられる。本講演では基本的な原理のみ説明する。本講演では、 食品工場で用いられる代表的な洗浄剤として界面活性剤やアルカリ洗剤についてのみ説明する。また、殺菌剤としても、代表的なものとして次亜塩素酸と塩化ベンザルコニウムについてのみその原理を説明する。
第2に、食品での殺菌について述べる。食品を殺菌する場合には基本的には化学薬剤は使えない。従って加熱殺菌がほとんど唯一の方法になる。加熱殺菌には異なる温度の加熱殺菌がある。最も代表的なものとしてはパスツール殺菌と、レトルト殺菌である。これらの代表的な殺菌方法の基本原理について本講演では説明をする。
第3に、食品流通過程における微生物の増殖制御の基本を説明する。具体的には温度で管理する方法、 pH で管理する方法、また水分活性で管理する方法がある。この3つの基本手段が食品中での微生物の増殖制御の基本となる。これらに加えて、日持向上剤や保存料などの食品添加物で微生物の増殖を制御する方法、真空包装やガス置換包装などの気相のコントロールによる制御法がある。本講演で、一つ一つを詳細に解説する時間はないので、代表的なものいついて概略のみを紹介する。