乳児用粉ミルクによるクロノバクター感染症とリコール(米国)

 米国FDAの2月20日の発表によると、ミシガン州のアボットニュートリション社が製造した粉ミルクを摂取した後、4人の乳児がクロノバクター感染症とサルモネラ感染症に罹患しました。FDAは粉ミルク製品の購入または使用を避けるように消費者に警告しています。同社は2月17日に特定のロットの自主回収を発表しました。

クロノバクター感染症報告

 4例の乳児感染は、ミネソタ(1)、オハイオ(1)、テキサス(2)州でそれぞれ報告されています。 2021年9月6日から2021年12月18日までに報告されています。

 このうち3例はクロノバクターサカザキ(Cronobacter sakazakii)感染で、一例がサルモネラ感染です。 4例の乳児はすべて入院し、このうち1例では クロノバクターサカザキが乳児の死亡に関与した疑いがあります(クロノバクターサカザキが唯一の死因かは未確定)。

ミルクと赤ちゃん

アボット社のこれまでのFDA立ち入り検査記録

 FDAは同社の製造施設での立入検査を行った結果、会社の内部記録のレビューでは、これまでにもCronobacter sakazakiiが粉ミルク製造環境から検出されていた記録が残っており(ただし、製品と直接接触のある箇所ではなかった)、これらの環境で製造したこのミルクを廃棄した事実も記録として残っていました。Salmonella Newportの検出記録はありませんでした。

 なお、今回の事件以前に、ミシガン州スタージスにあるアボットの乳児用調製粉乳製造施設は、 FDAの検査データベースによると、2008年10月以来27回のFDA検査を受けています。27回の検査のうち24回の検査の結果、問題点を指摘されていませんでした。しかし、以下のような指摘が行われたこともあります。

・2019年9月のFDAの検査において次の点が指摘されました。
  粉末乳児用調製粉乳の最終製品および流通直前の粉末についての微生物検査が行われていない。
  これに対して会社は是正措置を行ないました。

・2021年9月にFDAの現地査察が再度実施されました。その際の査察で、いくつかの問題が明らかになりました。
  乳児用調製粉乳、その原材料、包装、機器、または器具の接触面を直接扱う人員は、手が汚れたり汚染されたりした後、適切な温度の手洗い施設で手を完全に洗浄できていない。
  乳児用調製粉乳の製造、加工、梱包、または保管に使用される建物を清潔で衛生的な状態に維持できていない。
  処理パラメータの測定、調整、または制御に使用した機器が適切に保守されていない。
  温度制御を維持するために必要な頻度で熱処理装置の温度を監視していない。
  製品充填機で圧縮ガスを使用する場合、0.5マイクロメートル以下の粒子を保持できるフィルターを設置していない。

リコールは全世界に影響

 ミシガン州スタージスのこの施設で製造された製品は、米国全土のみならず、他の多くの国に輸出されており、リコールの影響は世界に広がっています。リコールされた製品は、米国に加えて、オーストラリア、バーレーン、バルバドス、バミューダ、カナダ、チリ、中国、コロンビア、コスタリカ、ドミニカ共和国、エクアドル、エジプト、グアム、グアテマラ、香港、インド、インドネシア、イスラエル、ヨルダン、クウェート、レバノン、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、オマーン、ペルー、プエルトリコ、カタール、サウジアラビア、シンガポール、南アフリカ、スーダン、台湾、タイ、アラブ首長国連邦、英国、ベトナムです。

粉ミルクの世界中でのリコールのイメージ

なお、クロノバクターサカザキの基礎事項については別記事でまとめましたので、下記をご覧ください。
クロノバクター・サカザキ(Cronobacter sakazakii)