グラム陽性菌と陰性菌ー化学物質に対する耐性の違い

 前記事で述べたグラム陽性菌と陰性菌の細胞表層構造の違いは、細菌の化学物質に対する耐性の違いにも直結する。大まかに述べると、グラム陽性菌は化学物質に弱く、陰性菌は強い。陰性菌では外膜がさまざまな化学物質の侵入を防ぐバリアーとして働く。一方、陽性菌の持つ細胞壁は分厚く、物理的には強固であるが、実は、構造上、スカスカであり、化学的バリアーとしては、ほとんど役に立たないといってよい。たとえで述べると、グラム陽性菌の細胞壁は鉄骨や鋼までは強固に作られているが、コンクリートが塗りこまれていないので風通しがいい未完成のビルのようなものである。これに対し、グラム陰性菌は薄くて物理的には強くないが、防水シートのしっかりしたトレンチコート(外膜)を身に着けているようなものと考えればいい。


 したがって、一般的にグラム陽性菌は陰性菌に比べると、抗菌剤などの薬剤で比較的簡単に増殖を抑えることができる。このような性質は大腸菌やサルモネラ菌などの食品からの検出培地にも応用されている。