サーモン寿司を原因とするサルモネラ食中毒発生(米国)

  2022年10月19日、米国FDAは、カリフォルニア州およびアリゾナ州で、寿司レストランで提供された新鮮な生鮭を原因としたサルモネラ食中毒が発生していることを報告しました。現在、米国FDAは、CDCおよび州・地域の衛生機関とともに調査中です。

サーモン、寿司

2022年10月19日 FDA発表
2022年10月20日 CDC発表

食中毒事件の概要

 2022年10月19日現在、3つの州から合計33人のアウトブレイク株Salmonella Litchfieldへの感染者が報告されています(下記地図参照)。発病者は2022年6月14日から2022年9月18日までの日付で発生しています。

  • 患者総数  33人 
  • 入院 患者数 13人
  • 年齢 1歳~67歳(中央値32歳)、59%が女性
  • 死亡者数  0人
  • 症例がある州 :カリフォルニア州 (21), アリゾナ州(11), イリノイ州 (1)
米国の州地図

 CDC による疫学的情報と州および地域の公衆衛生担当者が実施した聞き取り調査によると、次のような結果が得られました。

  • 聞き取りを行った 16 人のうち、12 人(75%)が寿司、刺身、ポケを食べたと報告しています。この割合は、下痢性疾患に関連するさまざまな食品を食べる頻度を推定するのに役立つFoodNet人口調査において、生魚を食べたと答えた回答者の7.9%よりかなり高いものでした。この差は、この集団発生の人々が生魚を食べて病気になったことを示唆しています。
  • また、食事の内容を覚えていた11人のうち、9人(82%)が生のサーモンを食べたと回答しました。
医師のインタビューにサーモン寿司を食べたと答える患者の女性

 食品医薬品局(FDA)は9月下旬からこの集団発生を調査しており、原因となった魚をマリスコス・バイア社(Mariscos Bahia)で加工されたものであることを突き止めました。

 FDAは、同社のカリフォルニア州ピコリベラ市の流通センターから、サルモネラ菌に汚染された複数の製造環境のふき取りサンプルでサルモネラ菌の検査を実施しました。その結果、

  • この施設で採取された複数の環境ふき取り試料がサルモネラ菌陽性になりました。
  • 分離菌株の全ゲノム配列(WGS)分析で、少なくとも1つのふき取り試料から検出されたサルモネラ菌はアウトブレイク株と一致しました。
食品工場で拭き取り検査をする検査人

  加工環境にサルモネラ菌が存在することが判明したため、FDAは、この施設の同じエリアで加工された他の種類の魚(新鮮な生ハリバット、チリアンシーバス、マグロ、メカジキなど)も汚染されている可能性があるとしています。

同社はFDAの調査に協力し、自主回収を開始することに同意しています。

水産加工工場とサルモネラ菌汚染

 魚介類が生息する沿岸海水は、海鳥の糞や海域への河川流入などによりサルモネラ菌に汚染される可能性があります。しかし、一般的には、沿岸海水のサルモネラ菌の汚染は少ないと考えられています。しかし、今回の事件のように、水産加工施設でサルモネラ菌汚染が起きる場合もあります。日本では過去に、1999年に乾燥イカ菓子でのサルモネラ菌食中毒事件も起きています。また、ウナギによるサルモネラ食中毒もしばしば発生しています。

 水産加工工場へのサルモネラの汚染ルートは決定することは困難ですが、水産加工工場に限らず食品製造工場内にサルモネラ菌が入り込んだ場合、しぶとく工場内に定着することは一般的によく知られています。関連記事は下記をご覧ください。

サルモネラ菌の食品製造工場の乾燥ステンレス上での生存期間は?