チョコレートを原因とするサルモネラ菌食中毒がヨーロッパで発生

 チョコレートによる細菌性食中毒はほとんど起きません。しかし、2022年4月に、チョコレートによるサルモネラ菌の多国間アウトブレークがヨーロッパで発生しました。子供向けのチョコレート(イタリアの食品会社フェレロのキンダーチョコレート製品)によって、EU9か国とイギリスで合計、約150人の子供たちがサルモネラ菌に感染しましています。同社のベルギー工場から出荷されたチョコレートが原因です。本記事は欧州食品安全機関と欧州疾病予防管理センターが2022年4月12日に発表した中間報告の内容を紹介します。

チョコレートのイメージ

 なお、この中間報告書は公的文書なので、食中毒を起こしたチョコレートの生産会社や工場は匿名になっています。しかし、このニュースは会社名や工場名実名入りですでに世界中を駆け巡っています。

アウトブレークの概要

 欧州疾病予防管理センター(ECDC)および欧州食品安全機関(EFSA)によると、8か国で、チョコレート製品に関連する119件の確認済みおよび28件の可能性のあるサルモネラ菌感染症が報告されています。それらの病気の大多数は10歳未満の子供を中心に子供です。

 英国はこれまでに最も多くの症例(65例)を報告しており、そのうち43%が入院しています。その他、フランスで25例、アイルランドで15例、ドイツで6例、スウェーデンで4例、オランダで2例、ルクセンブルグとノルウェーでそれぞれ1例です。また、その他にも、現在、ベルギーでは、26の可能性のある症例を調査しており、ドイツでも2つの潜在的症例の調査注です。

Euにおけるチョコレートのサルモネラ食中毒の広がり

 患者へのインタビューと初期の分析疫学研究に基づいて、イタリアの食品会社フェレロ社のキンダーズブランドのチョコレートの特定のチョコレート製品(おもちゃが入ったキンダーサプライズのチョコレート)が感染の可能性のある経路として特定されました。これらおよびその他のキンダー製品は、ベルギーのチョコレート工場で製造され、60か国以上に輸出されていました。

チョコレート工場調査

 2021年12月中旬に実施されたフェレロ社のベルギー工場でのに内部分析で、サルモネラ菌が検出されていました。調査の結果、バターミルクを含む処理ステップ(タンクの出口フィルター)が汚染の可能性のあるポイントとして特定されました。フィルターが取り外され、衛生対策が実施されました。

 同工場は、生産を停止し、半製品および完成品の管理が強化されました。12月10日から15日までに製造された製品を廃棄し、ラインの徹底的な洗浄を実施しました。内部調査でサルモネラ菌陰性を確認した後、製品をヨーロッパをはじめ世界中に出荷しました。

バターミルクタンク

 しかし、2022年3月末に、ベルギー衛生当局は、シーケンシングデータにより、高度な分子タイピング技術を通じて、アウトブレイク臨床株とベルギー工場から分離されたサルモネラ菌株がほぼ同一であることを見出しました。

 4月8日、ベルギー当局は、この工場でのすべての活動を停止しました。また、この工場で製造された全ての製品をリコールするようにフェレロ社に求めました。

 フェレロ社は、「内部の非効率性」があり、タイムリーな情報の取得と共有に遅れが生じていることを認めました。

世界的なリコール

 ベルギー当局は現在、アルロンの生産拠点の承認を取り下げており、フェレロはベルギー工場で2021年6月から現在までの間に製造されたキンダー製品をリコールしています。

 製品の流通には、ヨーロッパの大部分、米国、カナダ、アルゼンチン、オーストラリア、イスラエル、ニュージーランド、シンガポール、香港、メキシコに至るまで、60を超える国々が含まれます。

製品の世界的なリコールを示すイメージ

日本は?

 卵の形をして開けると、中にお菓子が入っているキンダーサプライズのチョコレートは、日本でも、かつては販売されていました。しかし、ウィキペディアによると、2015年5月現在の情報では現販売されていないようです。

キンダーサプライズ

ただし、通販サイトでは現在でも販売されているようです。

今後求められる原因究明

 現時点ではチョコレート工場のバターミルクタンクにサルモネラ菌が汚染していたことだけが分っています。しかし今後、問題がどのように発生したかを判断し、他の加工工場で汚染された原材料が広く使用される可能性を評価するには、さらなる調査が必要であると、この中間報告書では述べています。

 ところで、チョコレートによるサルモネラ菌による多国間アウトブレイクは、これまでにも世界で散発的に発生しています。チョコレートによるサルモネラ菌の過去のアウトブレイク事例紹介と、チョコレートにおけるサルモネラ菌リスクについては、下記の別記事でまとめましたので御覧ください。

チョコレートを原因とするサルモネラ菌の食中毒リスク