イタリアンスタイルのサラミスティックで若者がサルモネラ食中毒

 ここ数週間では、米国で最も関心事のある食中毒事例は先記事お伝えしたメキシコから輸入された玉ネギによるサルモネラ菌広域食中毒です。一方で、発生件数は少ないですが、現在、複数州で、サルモネラ菌食中毒が米国では発生しています。最初の報告は9月18日にはじまり、現在までに8州で合計21人が感染し3人が入院しています。患者の大半が18歳以下の若者です。発熱、嘔吐、下痢などの症状が出ても、 医者にかからない患者が多数想定され、 CDC は実際の患者はこの数字もよりもはるかに高いと推定しています。

腹痛に苦しむ若い男性

 8例はカリフォルニア州、3例はミシガン州、3例はミネソタ州、2例はイリノイ州で発生しています。残りの4件は、カンザス、ニュージャージー、ニューヨーク、バージニアで発生しています。

 CDC の発表によると、10月28日の時点で、 この食中毒の原因はCitterioブランドのプレミアムイタリアンスタイルサラミスティックであるとしています。疫学的聞き取り調査によるとインタビューした15人のうち14人はこのサラミスティックを食中毒になる前に食べたと答えています 。

サラミ

 ところで、日本ではサラミは、 乾燥食肉製品ととして整理され、成分規格により水分活性0.86以下と規定 されています。水分活性0.86以下では黄色ブドウ球菌を含めて細菌の増殖がおきません。

※細菌の最低増殖水分活性の基本事項を確認されたい方は下記の記事をご覧ください。
水分活性と微生物の増殖

 ではなぜサラミで米国やイタリアでこのような食中毒が起きてるのでしょうか?

 現時点では、まだこれらのサルモネラ菌食中毒の具体的な要因解析などの情報はありません。

 しかしサラミのようなサルモネラの増殖が不可能な乾燥食肉製品であってもサルモネラ菌は生き延びることができます。このブログでも、米国でのサラミを原因とするサルモネラ菌の食中毒の記事を紹介しました。サラミの原料の香辛料が原因だったケースです。

※詳しくはこちらの記事をご覧ください。
お客様のポイントカードのデジタル情報を利用した食中毒の発生原因の疫学調査

 いずれにしても水分活性が低くサルモネラの増殖の起きない食品であっても原料や加工段階でのサルモネラ菌の混入を原因とする食中毒事件は世界で頻繁に起きています。低水分活性食品でのサルモネラ菌食中毒事件で、もう一つ有名な事例としては、本ブログの記事でも紹介したピーナッツバター食中毒事件が有名です。

 ※この事件の詳細な解析については下記の記事をご覧ください。
ピーナッツバターとサルモネラ菌食中毒

  いずれにせよ、低水分活性食品とサルモネラ食中毒の問題は、なかなか止みそうにありません。今後も要注意です!

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