2021年夏から秋、全米各州でのサルモネラ菌による原因不明の胃腸炎 の経過

 ここ数ヶ月間、全米各州でサルモネラ菌による原因不明の胃腸炎が発生していました。この大規模食中毒の原因と感染経路がようやく解明されつつあります。まずは食中毒の規模ですが、 CDC の10月21日時点での発表によると、全米にまたがるサルモネラ菌による大規模食中毒は、全米37州で652件であり、入院患者は129人に上るとしています。今回の大規模食中毒は、ここ一か月間、原因不明のサルモネラ中毒と米国では報道されてきていました。しかし、この度ようやく CDCとFDA がその原因を特定しつつあるようです。

 CDCの発表によると、メキシコから輸入した玉ねぎが原因のようです。 玉ねぎは米国へ、メキシコのチワワから輸入され、ProSource Incという会社によって販売されたものです。これらの玉ねぎは、全米の全ての州のレストランや食料品店に販売され、全米各州をまたがる大規模食中毒に発展しました。米国への 最終的な輸入年月日は8月27日でしたが、これらの玉ねぎは最大3ヶ月間保管が可能なため、現在でもこれらを購入した家庭や食品流通業の倉庫に保管されている可能性があります。 10月23日の米国 FDA の公式ページでは、まだ最終的な結論には至っていないとしていながらも、 これらの玉ねぎを保管している場合には直ちに廃棄するように求めています。

タマネギ

 また、この問題は米国だけの問題とはならず、カナダ当局もアイダホ州フェリーの ProSource Inc 社販売 の赤、白、黄色の生玉ねぎは、サルモネラ菌汚染の可能性があるためリコールされています。カナダでもメキシコのチワワ州から輸入されたこれらの玉ねぎは7月1日から8月31日までオンタリオ州とケベック州そしてその他の州で販売されています。 カナダ食品検査庁はこれらの玉ねぎを保管している場合は直ちに捨てるか、購入した販売店に戻すようにアナウンスしています。

早速、始まった裁判訴訟

 また今回の食中毒の原因がメキシコからの新鮮な玉ねぎが可能性があるということが発表されて数時間後には、すでに最初の消費者障害訴訟が開始されています。損害賠償金額は、 1,000,000ドルを超えるとも言われています。

 この裁判を起こした原告は、テキサス州の市民であり、 このタマネギにより食中毒になった未成年の男性の母親です。訴訟によると、原告は、レストランで夕食をしました。8月27日に倦怠感と頭痛を経験しその後10日間症状が重篤化しました。9月3日に集中治療室に搬送されました。現在でも抗生物質の治療を毎日受けています。

 一方訴訟を受けたのは、 ProSource Inc 社とテキサス州のレストランの玉ねぎの販売業者2社です。 訴訟の理由としては、 これらの業者がサルモネラ食中毒を防除するための適切な処置を怠ったという論点で戦われそうです。

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