基礎講座ー検査法(遺伝子に基づく方法)
食品微生物の検査法の中で、特に遺伝子配列に基づく方法の基礎を解説します。
16S rRNAアンプリコンシーケンス解析(細菌叢解析)の食品微生物検査への応用法のすべてをわかりやすく解説します
次世代シーケンサーを用いることにより、ハイスピード、低コストで、DNAの配列を読むことができるようになった。食品から直接多様な微生物のゲノムを抽出する16SrRNAアンプリコンシーケンスにより、培養法に比べると格段のスピードで細菌叢を解析できることが可能となった。本記事では、 16SrRNAアンプリコンシーケンス解析 が食品産業界のどのような場面で活用できるのかについて、未来を見据えた展望をしてみたい。
PCR法による食品の微生物検査の留意点
PCR検査による食品微生物の検査は、迅速性という点で培養法に比べ優位である。ただし、 PCR検査 の技術特性と実施に伴うリスクについて正確に理解しておかないと、思わぬ落とし穴に落ちることになる。本記事では、PCR検査による食品から微生物の直接検出における留意点について解説する。
DNAシーケンサーの原理をわかりやすく説明します
食品微生物の遺伝子検査の基礎を理解するためには、DNAシーケンサーの原理の理解が不可欠である。本記事では、DNAの配列決定法について、サンガー法(電気泳動、キャピラリーシーケンサー)、次世代シーケンサー(イルミナシーケンサー、Ion Torrent シーケンサー)、第3世代シーケンサー(ナノポアシーケンサー)の各DNAシーケンサーの原理をわかりやすく説明する。原理や仕組みについては、食品微生物学の初心者がイメージとした理解できることを目的として、大まかな原理について、一部、動画もまじえてわかりやすく説明する。また、各シーケンサーの食品微生物学分野の応用例にも触れる。
病原菌や食中菌の感染ルート把握のための分子疫学解析手法(菌株の識別法)のすべてをわかりやすく解説します
病原菌や食中毒菌の感染ルートの把握には、精度の高い鑑別法(fingerprinting)が求められる。これまでに細菌の株レベルのタイピングは主としてパルスフィールドゲル電気泳動法に代表されるフラグメント解析や、キャピラリーシーケエンサー(サンガー法)により一部の遺伝子配列を読むMLSTやMLVA等が主流であった。しかし、今後、細菌の株レベル分子疫学解析は、次世代シークエンサーによる全ゲノム配列解析が主流になる。本記事では、これらの分子疫学解析法(菌株の識別法)のすべてを、わかりやすく説明する。
食品微生物検査に必要なPCR法とリアルタイムPCRの原理をわかりやすく説明します
本記事では食品微生物の遺伝子検査における PCR 法とはどのような技術か、リアルタイム PCR法とはどのような技術か、これらの技術の原理や 仕組み、利点を分かりやすく説明する。 記事内では、これらの技術を理解するのに必要な、プライマー、taqman (タックマン)、定量性、Ct値、サイクル数、検量線等にいてもわかりやすく説明する。また、リアルタイム PCR の定量性について、臨床微生物分野と食品微生物検査においての応用の違いが出てくることについて説明する。
遺伝子検査による微生物の同定
本記事では、微生物同定を遺伝子検査によって行う方法を分かりやすく解説する。細菌の種をどのように定義するのか、OTU(operational taxonomic units)とはなにか、16SrRNAとはなにか、16SrDNAとは何か、ハウスキーピング遺伝子とは何か、なぜ16SrDNA遺伝子解析(シーケンス)が同定に適しているのか、系統解析との関連、種の同定に適している配列領域とはなにか、その検査のメリットと限界、留意点について、解説する。
遺伝子検査による食品微生物検査(シリーズ)
遺伝子検査による食品微生物の検出・同定に関する手法は多岐にわたる。本シリーズでは網羅的になることを避け、そもそも食品微生物検査における遺伝子検査とは何か、代表的な技術(PCR法、リアルタイムPCR法、lamp法、パルスフィールド電気泳動、MLST法、MLVA法、次世代シークエンサー等)の概略、 遺伝子検査 によってわかること、そのメリット、実施するにあたっての技術特性の理解や留意事項を中心に順次シリーズで解説する。なお、本シリーズは実験マニュアルを提供するものではない。初心者に各技術の特性をわかりやすく説明することを目的としている。