8月2日、Netflixで配信が開始されたドキュメンタリー『ポイズニング: 食に潜む汚れた真実』は、過去に米国で発生した主な細菌性食中毒事件に焦点を当てています。この作品には、食中毒の被害者の実際の映像や声が収録されており、ブログだけでは伝えきれない食中毒の真実の恐ろしさや実態が詳しく描かれています。腸管出血性大腸菌、リステリア、サルモネラなどによる細菌性食中毒が、普通の子供や十代の若者の人生にどれほどの重大な影響をもたらすか(死亡や後遺症を含む)、その社会的責任の重さを痛感させられる作品となっています。このドキュメンタリーを、日本の食品企業の品質管理担当者も含め、多くの人に見ていただきたいと思います。

ドキュメンタリーフィルムを食い入るように見つめる食品会社の品質担当管理者。

 このブログでは、米国における細菌性食中毒の最新ニュースや過去の重大事件を頻繁に取り上げています。しかし、食中毒被害者の具体的な状態や体験については、病院入院や死亡の件数を示す以上のことは言及していません。それに対し、ドキュメンタリー映像は違います。食中毒の被害に遭った人々の、本人や家族の姿がリアルに映し出されており、食中毒の恐ろしさを身に染みて感じることができます。

 映像は言葉を超えて人々の心に響く力がありますが、ここではドキュメンタリーの内容を詳しくは触れません。ただ、大まかな内容としては以下のようになっています。

 このドキュメンタリーは、細菌性食中毒事件の被害者を長年弁護してきた米国の弁護士ビル・マーラー氏の視点から展開されています。特に1993年のジャック・イン・ザ・ボックスによる腸管出血性大腸菌事件や、ロメインレタスを原因とする同種の食中毒事件など、過去の大きな事件が取り上げられています。17歳のステファニー・インバーグが食中毒により昏睡状態になる様子や、ピーナッツバターによるサルモネラ食中毒など、食品企業のミスや行政の対応に関する問題点も紹介されています。

 ビル・マーラー氏の厳しい意見は、彼が長年のキャリアで見てきた細菌性食中毒の被害者たちの苦しむ姿から来ているのでしょう。食品安全に関する問題は国や地域によって異なる部分もありますが、このドキュメンタリーを通じて、企業が原因となる細菌性食中毒の深刻な影響を実感することができます。日本の食品企業も、品質管理の重要性を再確認する意味で、この映像を見る価値は大いにあります。