■ 食品微生物の基礎講座
オキシダーゼ試験の仕組み-グラム陰性菌、特に腸内細菌科菌群の検査法として重要
本記事では、 オキシダーゼ試験(オキシダーゼテスト、シトクロームCオキシダーゼ試験、もしくは、チトクロームCオキシダーゼ試験などの別称あり) とは何か、この試験でわかること、その原理や試験方法(擬陽性などの注意事項含む)、グラム陰性菌で本試験結果が陽性や陰性だった場合の食品衛生学的意義、特に生食用食肉 規格基準に採用されている腸内細菌科菌群の検査法としての重要性、などについて解説する。
グラム陰性菌とグラム陽性菌の特徴、違い、種類を整理する微生物分類方法(食品微生物学整理箱)
最近は 16srrna遺伝子解析に基づく種の同定が 盛んになっている。その結果、細菌の分類が微細かつ複雑になってきた。しかし食品微生物学の分野では、詳細な分類を行う前に、頭の中で大きな枠組みを理解しておくことの方が重要である。この記事以降、数記事にわたり、食品微生物学の中で登場する各種グラム陰性菌やグラム陽性菌の種類や特徴の整理・覚え方に便利な微生物分類方法、すなわち、頭の中の食品微生物学整理箱をについて述べたい。グラム陽性菌とグラム陰性菌とでは、頭の中で整理しておくべき整理箱の構成が少し違う。これらの枠組みを頭の中に入れておくと便利である。
保存料「ナイシン」について
前記事では、日本で広く用いられている保存料や日持向上剤について記した。本記事では、ソルビン酸やしらこなどのように、日本では保存料表示義務のある食品添加物のナイシンについて解説する。ナイシンは、乳酸菌同士の抗菌作用として用いられる天然抗菌剤のバクテリオシンの一つである。ポリカチオンペプチドの一つであり、体への影響や体に悪いというデータはなく、過去40年間にわたり食品の保存の目的で全世界で広く使用されている。
有機酸以外の保存料、日持ち向上剤について
「保存料不使用」、「保存料無添加」などの言葉が歓迎されているように、ソルビン酸などの保存料は体に悪い、危険な添加物であるとの消費者イメージがある。本記事では、保存料とは何かについて説明をし、保存料と日持ち向上剤の種類やその抗菌メカニズムについて、抗菌ペプチドのポリリジン、しらこたん白などを例に挙げ、解説する。また、日持ち向上剤についても、グリシンを中心に説明する。
水分活性と微生物の増殖
本記事では水分活性とは?水分との違いは?について、わかりやすく解説する。結合水や自由水の理解、食品の水分活性の測定方法(求め方)の原理、塩蔵など、水分活性を下げることによって保存性を高めている食品、水分活性と細菌やカビなどの微生物の増殖との関係、水分活性で覚えておくと便利な値も説明する。
微生物の増殖および死滅とpHの関係
微生物の増殖および死滅に与えるpHの影響、有機酸による抗菌作用のメカニズムについて説明する。日持ち向上剤と保存料の違いを、酢酸ナトリウム、プロピオン酸、ソルビン酸を例に挙げて、説明する。 また、胃の重要な役割として、胃酸による感染型食中毒細菌の殺菌の働きについても述べる。 また、食中毒菌の酸への強さの違いは、食中毒細菌の最小発症菌数にも関係 することを説明する。最後に、食中毒細菌は酸に弱いという特徴を持つ から食中毒菌なのだとういうことも説明する。
温度管理による微生物増殖制御
本記事では、微生物の増殖と温度に関する基礎事項を身に付けるために記載された。食中毒を引き起こす細菌は中温菌が多く、自然界の大部分の微生物は低温で増殖するという事実は、食品微生物学の基本である。しかし、冷蔵庫の温度のみで増殖する低温菌が存在するという誤解もある。本記事では、中温菌の増殖特性と、リステリア菌のように広範な温度で増殖可能な特異性を持つ微生物の遺伝的背景について解説する。さらに、低温での増殖メカニズムを持つ微生物が如何にしてその能力を獲得しているのか、脂肪酸の組成やタンパク質の立体構造の観点から詳述する。これにより、食品の安全管理に必要な正確な微生物学的理解を深めることを目指す。
ヒスタミン食中毒の原因になりやすい食べ物とヒスタミン生成菌
この記事では、ヒスタミン食中毒の原因になりやすい食べ物とはどんな食べ物なのか、その原因、ヒスタミン食中毒の症状、予防方法、、ヒスタミン生成をする細菌、なぜ細菌によるヒスチジン脱炭酸反応はなぜ行われるのか、一度できたら食品の加熱ではヒスタミンは消えないこと、魚だけが原因食品ではなということなど、をわかりやすく説明する。
食品の加熱殺菌(レトルト殺菌)
100℃煮沸で死滅しない耐熱芽胞菌 食品に存在する細菌を完全に殺菌すれば(滅菌)、少なくとも食品の微生物学的な腐敗・変敗や食中毒は防除できる。このような完全殺菌食品をレトルト殺菌食品と呼び、これらは常温流通にしても問 […]