■ 過去20年間の注目論文

サルモネラ
チョコレートを原因とするサルモネラ菌の食中毒リスク

チョコレートは微生物学的には安全性が高い食品です。ほとんどの製品は水分活性が低いため、常温で数ヶ月から1〜2年保存が可能です。しかし、別記事で紹介しているように(2022年4月に、ベルギー工場で生産されたチョコレートを原因とするサルモネラ菌食中毒がEUで発生)、サルモネラ菌による食中毒が稀に発生することがあります。なぜチョコレートでサルモネラ食中毒菌が起きるのでしょうか?これまでにもチョコレートによるサルモネラ菌食中毒が起きていたのでしょうか?この記事は、チョコレートにおけるサルモネラ菌食中毒のリスクについてまとめます。

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殺菌法
オゾン水は手の消毒にアルコールと同じ殺菌効果があり、手荒れが無い

現在、療現場で手指の消毒として使用される主な消毒方法は、石鹸とアルコールです。石鹸やアルコールに対して敏感な人の手指の肌荒れの原因にもなっています。この記事ではアルコール殺菌と同等の効果を持つオゾン水の効果を示した論文を紹介します。オゾン水はアルコールと異なり、手荒れが少ないこともデータが示しています。

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薬剤耐性菌
鶏肉由来の薬剤耐性菌はヒト腸内菌に薬剤耐性遺伝子をプラスミド伝播により伝える

薬剤耐性菌が養鶏場での飼育管理の環境で出現し、それが市販鶏肉に汚染しています。ここで疑問なのは、鶏肉由来の抗生物質耐性菌が人体に入った場合、人体にもともと住んでいる感受性菌に抗生物質遺伝子を移すか否かということです。今回紹介する論文は、人のボランティア実験を用いてこのことを証明した実験例です。

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腸管出血性大腸菌
空気感染や人から人へうつる場合もある腸管出血性大腸菌

身近な脅威、それが腸管出血性大腸菌(EHEC)です。食物や水を通じた感染が主ですが、実は驚くべきことに、ヒトからヒトへと直接感染するケースもあります。これは特に保育所での子どもたちの間や、重篤な感染症を看病する家族間で注意が必要です。この人間間の感染はどのような状況で、どれほどの確率で起こるのでしょうか?本記事では、この特異な感染経路とともに、保育所や家庭での具体的な感染事例を紹介します。この記事を通じて、あなた自身、大切な人々、そして子どもたちを予想外のEHECの脅威から守るための知識を得ることができます。

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サルモネラ
養鶏場のストレス環境と鶏のサルモネラ菌感染の関係

ブラジルは世界最大の鶏肉輸出国です。日本の鶏肉の70%以上はブラジルからの輸入に頼っています。わたしたちが毎日外食レストランや食卓で食べているブラジル産の鶏肉の飼育環境が気になるところです。ブラジルののサンパウロ大学のゴメス博士らは、養鶏場の鶏に過密ストレス(1m2あたり 16羽)を与えた場合の、鶏のに与える生理ストレスとサルモネラ菌への感染の度合いを分析しました。

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ビブリオ
中国では過去20年間、細菌性食中毒の発生件数第1位は腸炎ビブリオ

  日本では過去20年間、腸炎ビブリオの食中毒は激減しています。しかし、世界の事情と、日本の事情は異なるようです。中国では過去20年間、細菌性食中毒の発生件数第1位は腸炎ビブリオです。この記事では、2つのレポートを紹介します。

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リステリア
低濃度でリステリア菌に汚染されたアイスクリームは感染を起こすか?

 低濃度でリステリア菌に汚染されたアイスクリームは感染を起こすのでしょうか?妊婦が食べたらどうなるでしょうか?基礎疾患のある高齢者の場合は?2015年米国でアイスクリームによるリステリア菌食中毒がおきました。この食中毒事件により、アイスクリームによるリステリア菌食中毒の発症菌量に関して興味深い事実がわかりました。本記事ではこれを紹介します。

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腐敗細菌関連
塩漬け白菜の微生物学的品質を決定する要因:季節と流通温度

 2012年に札幌市で白菜の浅漬による腸管出血性大腸菌O157による大規模食中毒事件が発生し、また、韓国でも、同年にキムチを原因とする腸管毒素原性大腸菌(ETEC)食中毒がおきました。これらの食中毒事件によって、白菜の浅漬やキムチのように非加熱喫食の白菜の潜在的な危険性が浮き彫りになりました。これまでに、塩漬け白菜の微生物学的品質を調べた研究はほとんどありませんでした。そこで、韓国の高麗大学のキム博士らが、韓国内で市販の塩漬け白菜の微生物学的品質を調査しました。

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腐敗細菌関連
チルド食品の変敗と低温細菌(乳酸菌)

 本記事は、チルド食品の変敗と低温細菌(乳酸菌)に関するものです。 30°C の培養温度では検出できない低温細菌を、16S rRNAアンプリコンシークエンス解析(細菌叢解析)によって明らかにした結果を紹介します。以前、別記事で、ベルギーのゲント大学のポカソス博士らが、30°C 培養では、低温細菌を計測できず、微生物数を過小評価していることを示した論文を紹介しました。本記事はその続編です。

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ノロウィルスおよびその他ウィルス関連
バイオリズムとウィルス感染

今回紹介する論文は、ウィルスへの感染には人の体内時計(バイオリズム)も密接に関わっている証拠を示す論文です。朝の方が夕方よりもバイオリズムとの関係でウィルスに感染しやすいようです。

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