腐敗細菌関連
チルド食品の変敗と低温細菌(乳酸菌)

 本記事は、チルド食品の変敗と低温細菌(乳酸菌)に関するものです。 30°C の培養温度では検出できない低温細菌を、16S rRNAアンプリコンシークエンス解析(細菌叢解析)によって明らかにした結果を紹介します。以前、別記事で、ベルギーのゲント大学のポカソス博士らが、30°C 培養では、低温細菌を計測できず、微生物数を過小評価していることを示した論文を紹介しました。本記事はその続編です。

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基礎講座ー検査法(遺伝子に基づく方法)
16S rRNAアンプリコンシーケンス解析(細菌叢解析)の食品微生物検査への応用法のすべてをわかりやすく解説します

 次世代シーケンサーを用いることにより、ハイスピード、低コストで、DNAの配列を読むことができるようになった。食品から直接多様な微生物のゲノムを抽出する16SrRNAアンプリコンシーケンスにより、培養法に比べると格段のスピードで細菌叢を解析できることが可能となった。本記事では、 16SrRNAアンプリコンシーケンス解析 が食品産業界のどのような場面で活用できるのかについて、未来を見据えた展望をしてみたい。

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ノロウィルスおよびその他ウィルス関連
バイオリズムとウィルス感染

今回紹介する論文は、ウィルスへの感染には人の体内時計(バイオリズム)も密接に関わっている証拠を示す論文です。朝の方が夕方よりもバイオリズムとの関係でウィルスに感染しやすいようです。

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基礎講座ー検査法(培養法)
一般生菌数の測定方法

   plate count,)は、食品企業で勤務しているものなら、誰しもが日常的に行っている微生物検査である。この記事は、食品微生物学の超入門者向けに一般生菌数の測定方法を説明する。

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基礎講座ー検査法(培養法)
一般生菌数の意味を正しく理解しよう

  この記事で、食品や私たちの身の回りにどのくらいの数の微生物がが存在しているかにについて理解を深める。新鮮な食品や腐敗した食品、あるいは糞便、もしくは空気中にどれぐらいの数の微生物がいるのか?空気中に舞う埃ひとかけらにどれぐらいの微生物が存在するか?このような私たちの身の回りの微生物数に関する基本的な理解がないと、測定結果の解釈で、思わぬ落とし穴に落ちる可能性がある。

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ノロウィルスおよびその他ウィルス関連
ノロウィルスの感染力を調べるボランティア実験

ヒトの感染症では、動物と異なり、直接的に感染病原体に感染させる実験はほとんど行われません。しかし、ヒトを感染病原体に感染させる実験が行われる場合もあります。今回紹介する論文はその一つです。ノロウィルスの感染力(感染用量)を直接ヒトボランティア感染実験によって調べた例です。米国ベイラー医科大学のアトマー博士らの研究です

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基礎講座ー検査法(遺伝子に基づく方法)
PCR法による食品の微生物検査の留意点

 PCR検査による食品微生物の検査は、迅速性という点で培養法に比べ優位である。ただし、 PCR検査 の技術特性と実施に伴うリスクについて正確に理解しておかないと、思わぬ落とし穴に落ちることになる。本記事では、PCR検査による食品から微生物の直接検出における留意点について解説する。

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■ 世界最新ニュース
スーパー販売のミックス野菜サラダで腸管出血性大腸菌O157のアウトブレークが連続発生(米国)

1月6日の 米国疾病予防管理センター(CDC )の発表によると、スーパー販売のミックス野菜サラダ製品で大腸菌 O 157のアウトブレイクが米国で立て続けに発生しています。ベビースピナッチによるものと有機栽培によるオーガニックサラダによるものが別々に独立して発生しているようです。今週はこれらの食中毒について紹介します。

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基礎講座ー検査法(遺伝子に基づく方法)
DNAシーケンサーの原理をわかりやすく説明します

食品微生物の遺伝子検査の基礎を理解するためには、DNAシーケンサーの原理の理解が不可欠である。本記事では、DNAの配列決定法について、サンガー法(電気泳動、キャピラリーシーケンサー)、次世代シーケンサー(イルミナシーケンサー、Ion Torrent シーケンサー)、第3世代シーケンサー(ナノポアシーケンサー)の各DNAシーケンサーの原理をわかりやすく説明する。原理や仕組みについては、食品微生物学の初心者がイメージとした理解できることを目的として、大まかな原理について、一部、動画もまじえてわかりやすく説明する。また、各シーケンサーの食品微生物学分野の応用例にも触れる。

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■ 世界最新ニュース
リコールされたサラダのリステリア菌株は次世代シークエンサー解析により数年前の原因不明食中毒事件とリンクされた(米国)

 あけましておめでとうございます。さて、早速ですが、昨年暮れに 米国CDCによりサラダによるリステリア食中毒の原因究明に関する興味深い発表が2件立て続けにありました。いずれも、リコール株→次世代シークエンサーでの 全ゲノムシーケンス(WGS)分析 →過去の原因不明リステリア症患者分離株の遺伝子型とデータベース照合で一致→数年前まで遡る未解決食中毒事件の遡及的解決、とういう流れです。食品製造業者は食品への病原菌の混入でリコールが起きた場合、それがリコールだけでは終わらず、過去の食中毒事件の責任が問われる時代に入っていることを示しています。

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