ヒトとペットが共有する皮膚の常在菌
ヒト常在菌の差異の要因としては、(遺伝的)血縁関係、食生活、年齢などが考えられています。しかし、私たちの周囲の環境、つまり私たちが交流しているペットもまた、ヒトの常在菌に影響を与えている考えられます。コロラド大学のソング博士らは、60家族の糞便、口腔、皮膚の微生物叢を調査しました。
エノキダケとリステリア食中毒
日本と欧米とでは食生活が異なるのでリステリア食中毒はおきにくいと考えている人も多いと思います。ところが、日本、韓国、中国などの東アジア特有の食文化の食材が海を渡って米国でリステリア食中毒を起こしています。それはエノキダケです。最近では、米国にもこれらの国々から輸出されています。本記事では、米国での輸入エノキダケによる食中毒についてまとめてみました。
国際食品微生物規格委員会(ICMSF)やEUにおける食品微生物検査サンプリングプランをわかりやすく説明します
食品の微生物検査において、「陰性」判定の持つ意味は、サンプリング方法(サンプリングプラン)によって異なる。本記事では、国際食品微生物規格委員会(ICMSF)のサンプリングプランをわかりやすく説明する。このサンプリングプランはEUの食品安全基準や工程衛生基準で採用されている。サンプリングプランにおいては、その内容自体を理解することよりも(これは簡単に理解できる)、「なぜそのようなサンプリングプランになるのか?」を理解することのほうが重要である。この記事では、初心者のために、「なぜ?」を重点を置いて解説をする。
腸内細菌叢の多様性が不足するとカンピロバクター腸炎になりやすい
腸内細菌叢が多様なら外来病原菌を駆除する能力があるのではないかと、一般的には推測されています。しかし、このことを実際に科学的な観点からデータを示した報告は多くは存在しません。特にヒトに関しては殆どデータがありません。今回紹介する論文は、このことを科学的なデータで示した例です。カンピロバクター腸炎に関する報告です。ボランティア実験者の腸内細菌を調べた結果、やはり腸内細菌の多様性がある人の方がカンピロバクター腸炎にはなりにくいようです。
ノロウイルスによる65歳以上高齢者の死亡率
ノロウイルスの症状は通常、軽症で、感染者の多くは完治し、長期の後遺症はないとされています。しかし、65歳以上の高齢者の場合は、ノロウイルス感染により、死亡するケースもあります。では、ノロウイルスによってどれぐらいの人数の高齢者がなくなっているのでしょうか?実は、これに関する統計は国際的にあまり存在していません。そこで、英国健康保護局のハリス博士らは、ノロウイルス感染によるを高齢者(65歳以上)の死亡数を推定しました。
ノロウイルス感染力は冷凍で下がるか?
一般に細菌は凍結と誘拐を繰り返すと、細胞損傷を起こし、徐々に死滅していきます。ノロウイルスの場合はどうでしょう?ヒトノロウィルスは培養方法が確立していないこともあり、凍結融解を繰り返した時の死滅や感染力についての評価データは殆ど存在していませんでした。そこで、米国農務省農業研究所のリチャード博士がこれを実験してみました。
魚肉練り製品でリステリア食中毒発生(デンマーク)
デンマークで発生したリステリア菌の集団感染の原因食が魚肉練り製品であることが判明しました。2022年8月中旬から10月にかけて、デンマークでは、リステリア菌の同一遺伝子型を原因とするリステリア症患者7人を記録しました。これらの患者から採取したリステリア菌の遺伝子型は魚肉練製品から分離されたリステリア菌の遺伝子型と一致しました。
オランダ史上最悪のサルモネラ大規模食中毒の原因食品としてのスモークサーモン(2012年)
サケがサルモネラ食中毒の原因になることは稀です。しかし、オランダでは、過去に記録された最悪のサルモネラ大規模食中毒の原因食品はスモークサーモンでした。2012年にオランダで確認されたサルモネラ食中毒(Salmonella Thompson)の概要を紹介します。推定400万から600万人のオランダ国民がサルモネラ菌に汚染されたスモークサーモンを食べた可能性があり、23,000人がS. Thompsonによる急性胃腸炎を発症したと推定されています。オランダ国立公衆衛生・環境研究所(RIVM)感染症管理センターのフリースマ博士らの報告です。
サーモン寿司を原因とするサルモネラ食中毒発生(米国)
2022年10月19日、米国FDAは、カリフォルニア州およびアリゾナ州で、寿司レストランで提供された新鮮な生鮭を原因としたサルモネラ食中毒が発生していることを報告しました。現在、米国FDAは、CDCおよび州・地域の衛生機関とともに調査中です。