■ 過去20年間の注目論文
工場環境モニタリング指標として大腸菌群や一般生菌数はリステリア・モノサイトゲネスの代用になるか?
食品製造工場ラインでのリステリア検査において、代わりに一般生菌数や大腸菌群検査などを使用することはできないか、と考える品質管理担当者は多いかもしれません。しかし、実際に行われた検証結果によると、大腸菌や一般生菌数の検査結果とリステリア菌の検査結果は一致せず、これらの検査では代用することができないことが明らかになりました。本記事では、この問題を詳しく検証した論文を紹介します。リステリア検査の重要性とその正確性について理解するために、ぜひお読みください。
食品工場の環境微生物モニタリングプログラムのフランスでの普及状況は?
食品工場の安全は、微生物による汚染リスクを防ぐために不可欠な『環境モニタリングプログラム(EMP)』が鍵を握ります。この革新的なプログラムは、過去10年間でEUと米国で大きな関心を集め、新たな食品安全対策の一角を担っています。しかし、全ての工場での導入はまだまだ途中段階。今回は、EMP導入に積極的なフランスの食品工場でのその普及状況と現状について深堀りします。
食品工場の環境モニタリングにおける拭き取り検査ツールの性能比較と最適選択法
食品製造工場の環境モニタリングには、ガーゼ、スティックスワブ(綿棒)、スポンジ、コンタクトプレートなどの拭き取り検査ツールが使用されます。EU諸国の食品製造工場では、これらのツールの中でどれが最も頻繁に利用されているのか、また微生物の拭き取り検査の効率的な方法は何か、興味深い調査結果があります。フランスの食品や環境安全保障の国家機関ANSESが行った調査結果をご紹介します。品質管理担当者で拭き取り検査ツールの選択に悩んでいる方には必見の情報です。
炊飯米の冷却におけるセレウス菌の危険:食中毒を防ぐための正確な温度と時間
最近、青森県八戸市の弁当業者に起因する全国規模の食中毒事件が発生し、関連するセレウス菌が注目を浴びています。この菌は、耐熱芽胞菌の一種で、炊飯時の温度で芽胞が死滅することはありません。不適切な温度管理により、菌が増殖し、食中毒を引き起こす可能性があります。ここで、セレウス菌の発芽と増殖リスクに関する正確な冷却の温度と時間について、読者の皆様はどれほどご存知でしょうか?リスク管理には、これらの詳細なデータが必要不可欠です。本記事では、米国農務省の研究者による、炊飯米におけるセレウス菌の増殖と冷却速度の関連性についての重要な調査結果を解説し、セレウス菌食中毒の予防策について詳細に探ります。
井戸水と湧き水:カンピロバクター食中毒の隠れたリスクを徹底解説
最近、流しそうめんによるカンピロバクター食中毒が報道され、多くの人々が驚きました。特に、新食品微生物学入門講座で学ぶ受講者からは、井戸水や湧き水がこのようなリスクを孕んでいるとは知らなかったとの声が寄せられました。この記事では、湧き水や井戸水がどのようにカンピロバクターのリスクを高めるのか、科学的な視点から解説します。また、日常的な微生物検査だけでは病原菌を検出しきれない可能性についても深掘りします。特に、微生物検査の陰性結果に過度に安心してしまう危険性については、食品製造業の品質管理者に警鐘を鳴らす内容となっています。
黄色ブドウ球菌のエンテロトキシンAによる嘔吐メカニズムの解明
黄色ブドウ球菌は典型的な毒素型食中毒菌であり、その症状は嘔吐です。また、黄色ブドウ球菌はエンテロトキシンAを産生することが知られています。しかしながら、このエンテロトキシンAが具体的にどのように嘔吐を引き起こすのかは、これまで謎とされていました。しかし、2019年、北里大学の小野久弥博士らが世界で初めてこのメカニズムを解明しました。この記事では、博士らの研究結果を紹介します。黄色ブドウ球菌が引き起こす嘔吐の仕組みについて、驚くべき新たな知見が明らかにされました。
食品製造施設におけるATP検査と微生物検査の有効性:豆腐製造施設のケーススタディ
食品産業において、洗浄と衛生の監視のため、迅速なATP検査が広く使われています。本記事では、豆腐製造施設においてATP検査と微生物検査を行ったケーススタディを紹介し、ATP検査の有効性を検証しました。汚れの取れにくい標的箇所を絞り込んだ重点洗浄活動の介入前と介入後で検証した結果、ATP、一般生菌数、乳酸菌の衛生要件を満たさないスワブの割合が減少しました。本記事は、豆腐製造施設だけでなく、食品製造施設全般においてATP手法を用いた衛生監視の参考になります。
北京の病院で明らかになった妊婦のリステリア症の実態: 2013年~2018年の調査結果
リステリア症は妊娠中の母親と胎児に重大な健康リスクをもたらすことがありますが、中国での妊婦のリステリア症の発生状況については十分に認識されていません。この記事では、北京産科婦人科病院で2013年から2018年の6年間に確認された妊婦のリステリア症例数について報告した、李博士率いる首都医科大学北京産科婦人科病院の研究チームの論文を紹介します。この研究は、中国でのリステリア症の実態を理解するための重要な一歩となります。
ショッピングカートは微生物の温床?
前回の記事で携帯電話の微生物汚染についてご紹介しましたが、ショッピングカートの微生物汚染についてお伝えします。アリゾナ大学のゲルバ博士らによると、日常的な消毒が見落とされがちなショッピングカートは、清掃員が頻繁に清掃する公衆トイレやおむつ交換台の表面よりも多くの細菌が存在しているようです。この研究結果により、私たちの健康に与える影響を考えさせられます。今回の記事では、その詳細と対策方法についてお伝えします。
携帯電話にはどんな微生物が付着しているの?
日常的に使っている携帯電話には、知らないうちに数多くの微生物が付着しているかもしれません。一体どのような微生物がそこに潜んでいるのでしょうか?また、携帯電話が病原微生物の感染原因になる可能性はあるのでしょうか?ここでは、2005年から2019年にかけて出版された研究結果を基に、携帯電話に付着する微生物の実態に迫ります。