■ 過去20年間の注目論文

ノロウィルスおよびその他ウィルス関連
ノロウイルス感染後、実際に何日間排出が続く?

 ノロウイルスに感染した後、私たちは実際にどれくらいの期間ウイルスを排出し続けるのでしょうか?治癒後も排出が続くと言われるノロウイルスに関する情報は多いですが、具体的な日数や期間に関する詳細データは意外と少ない。そんな中、約15年前の2008年にテキサス州ヒューストンのベイラー医科大学で発表されたこの研究は、今でもその価値を持っています。アトマー博士らのチームは、当時としては先進的な高感度リアルタイム定量PCRを使用。その結果、ノロウイルスは治癒後、驚きの最長8週間も糞便中に検出されることが確認されたのです。

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カンピロバクター
米国における生ガキによるカンピロバクター食中毒:水産物の知られざる危険

昨年、日本で流しそうめんによるカンピロバクター食中毒事件が発生し、その意外性が注目を集めました。同様に、米国でも昨年暮に、カンピロバクター食中毒の意外な原因食品としてカナダ・ブリティッシュコロンビア産の特定の生ガキによるカンピロバクター食中毒が報告されました。これらのケースは、一見カンピロバクター食中毒の原因と無関係と思える食品からの食中毒リスクを浮き彫りにしています。実は、生ガキによるカンピロバクター食中毒は、新たなケースではなく、2021年にも米国ロードアイランド州で食中毒事件が起こっています。本記事では、これらの生ガキに起因するカンピロバクター食中毒の事例を詳しく探り、その背景と予防策について解説します。

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サルモネラ
カンタロープの中の隠れた脅威:果肉に潜むサルモネラ

2023年10月から11月にかけて、米国とカナダでカンタロープを原因とする大規模なサルモネラ食中毒が発生中です。アメリカで発生するマスクメロン由来のサルモネラ食中毒事件は、これまでにも多数報告されていますが、果肉内部への侵入経路は?外部の洗浄だけでは不十分な理由とは?本記事では、カンタロープの栽培過程でのサルモネラの侵入経路と、それを防ぐための最新研究を探求します。

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腸管出血性大腸菌
りんごと大腸菌O157リスク

 先週、茨城県の果樹園で紙コップに入った試食のりんごを食べた後、12人が食中毒の症状を訴えた事件が発表されました。6歳男児と70歳代女性が集中治療室(ICU)で治療を受けているようです。りんごでなぜ大腸菌O157食中毒が起きるのか?食品微生物学のリスク管理の視点から、この記事ではりんごの安全性と大腸菌O157との関係について、これまでの海外の事例解説を含めて解説します。りんごの表面や内部、そして食中毒を引き起こす微生物の増殖について、専門的な視点で分析します。

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腸管出血性大腸菌
腸管出血性大腸菌O26はO157と比べるとどれくらい危険?

最近の報道で目にすることが増えた腸管出血性大腸菌、特にO157の発生が再び注目を集めています。先週、静岡県の高齢者施設での悲劇的な集団食中毒事件や、先月、岐阜県の焼き肉店での5歳の男の子のO157食中毒は、私たちに深い懸念を抱かせました。しかし、O157だけが問題ではありません。他の血清型も存在し、それらは同様に深刻な影響を及ぼす可能性があります。例えば、今年8月に山梨県甲府市の認定こども園でO26型による集団感染事件が発生しました。その際、新食品微生物学入門講座の受講者から、「大腸菌O26はO157と比較してどれほどの重篤性があるのか?」「幼児はO157のように溶血性尿毒症(HUS)になるリスクはあるのか?」という質問を受けました。この記事では、大腸菌O26とO157を比較し、それぞれの病原性の強さや、特に幼児における溶血性尿毒症(HUS)への影響について詳しく解説します。大腸菌のリスクについての理解を深めましょう。

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黄色ブドウ球菌
食中毒の原因は従業員の鼻腔と手指からの黄色ブドウ球菌!イタリアの事例から学ぶ

 黄色ブドウ球菌は、多くの場合、人の手指の表皮に生息しています。従業員の手が直接食品に触れることで、黄色ブドウ球菌が食品に移行し、エンテロトキシンを生成して食中毒を引き起こすことがあります。この記事では、実際にイタリアの食堂で従業員の鼻腔や手指からの黄色ブドウ球菌による汚染が原因となり食中毒が発生した事例を紹介します。この事例は、ブドウ球菌中毒の典型的な例であり、食品取扱者が鼻や手にエンテロトキシン産生黄色ブドウ球菌を保有していたことが食品汚染の主な原因とされています。

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リステリア
 工場環境モニタリング指標として大腸菌群や一般生菌数はリステリア・モノサイトゲネスの代用になるか?

 食品製造工場ラインでのリステリア検査において、代わりに一般生菌数や大腸菌群検査などを使用することはできないか、と考える品質管理担当者は多いかもしれません。しかし、実際に行われた検証結果によると、大腸菌や一般生菌数の検査結果とリステリア菌の検査結果は一致せず、これらの検査では代用することができないことが明らかになりました。本記事では、この問題を詳しく検証した論文を紹介します。リステリア検査の重要性とその正確性について理解するために、ぜひお読みください。 

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食品工場衛生管理における微生物検査ー環境モニタリング
食品工場の環境微生物モニタリングプログラムのフランスでの普及状況は?

 食品工場の安全は、微生物による汚染リスクを防ぐために不可欠な『環境モニタリングプログラム(EMP)』が鍵を握ります。この革新的なプログラムは、過去10年間でEUと米国で大きな関心を集め、新たな食品安全対策の一角を担っています。しかし、全ての工場での導入はまだまだ途中段階。今回は、EMP導入に積極的なフランスの食品工場でのその普及状況と現状について深堀りします。

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食品工場衛生管理における微生物検査ー環境モニタリング
食品工場の環境モニタリングにおける拭き取り検査ツールの性能比較と最適選択法

 食品製造工場の環境モニタリングには、ガーゼ、スティックスワブ(綿棒)、スポンジ、コンタクトプレートなどの拭き取り検査ツールが使用されます。EU諸国の食品製造工場では、これらのツールの中でどれが最も頻繁に利用されているのか、また微生物の拭き取り検査の効率的な方法は何か、興味深い調査結果があります。フランスの食品や環境安全保障の国家機関ANSESが行った調査結果をご紹介します。品質管理担当者で拭き取り検査ツールの選択に悩んでいる方には必見の情報です。

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セレウス菌
炊飯米の冷却におけるセレウス菌の危険:食中毒を防ぐための正確な温度と時間

最近、青森県八戸市の弁当業者に起因する全国規模の食中毒事件が発生し、関連するセレウス菌が注目を浴びています。この菌は、耐熱芽胞菌の一種で、炊飯時の温度で芽胞が死滅することはありません。不適切な温度管理により、菌が増殖し、食中毒を引き起こす可能性があります。ここで、セレウス菌の発芽と増殖リスクに関する正確な冷却の温度と時間について、読者の皆様はどれほどご存知でしょうか?リスク管理には、これらの詳細なデータが必要不可欠です。本記事では、米国農務省の研究者による、炊飯米におけるセレウス菌の増殖と冷却速度の関連性についての重要な調査結果を解説し、セレウス菌食中毒の予防策について詳細に探ります。

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