■ 世界最新ニュース
欧州食品安全機関(EFSA)は食品の高圧処理(HPP)の効果について評価書を発行しました
食品の高圧処理は、食中毒の原因や食品を腐敗させる微生物を死滅させる非加熱の食品保存技術です。高静水圧処理(HHP)または超高圧処理(UHP)とも呼ばれています。2022年3月8日に欧州食品安全機関(EFSA)は高圧加工食品の安全性と効果、特に、調理済み食品(RTE)中のリステリア菌の減少に使用できるかどうか、生乳の加熱殺菌の代替法として使用できるかどうかについて、評価書を公開しました。
オーストラリアで心配されている地球温暖化と腸炎ビブリオ食中毒の増加
オーストラリアで腸炎ビブリオ(Vibrio parahaemolyticus)が新たな食中毒菌として心配されています。2016年以降、カキを原因とする腸炎ビブリオ食中毒が増えているからです。地球温暖化による海水温の上昇と関連していると考えられています。 2月16日にオーストラリアの保健省は、この問題に関するレポートを発行しました。本記事では、その文書の概要を解説します。
乳児用粉ミルクによるクロノバクター感染症とリコール(米国)
米国FDAの2月20日の発表によると、ミシガン州のアボットニュートリションが製造した粉ミルクを摂取した後、4人の乳児がクロノバクター感染症とサルモネラ感染症に罹患しています。FDAは粉ミルク製品の購入または使用を避けるように消費者に警告しています。同社は2月17日に特定のロットの自主回収を発表しました。
アイスクリーム製造ラインからリステリア菌が検出されて製品リコール(米国)
2月11日の米国FDA発表によると、米国マンチェスター州のロイヤルアイスクリーム社は、アイスクリーム製造ラインにリステリア菌(Listeria monocytogenes)が検出されたことを受けて、アイスクリーム製品をリコールしています。米国では、アイスクリームのリステリア菌汚染に関して度々リコールがおきています。この記事では、過去2年間の米国でおきた、その他のアイスクリームへのリステリア菌の検出に関するリコール事例もまとめて紹介します。
韓国産キムチによりカナダで腸管出血性大腸菌0157食中毒
韓国産キムチによる腸管出血性大腸菌O157:H7の食中毒がカナダで発生しているようです。カナダ公衆衛生庁(PHAC)によって1月29日に発表されました。 2022年1月28日の時点で、キムチに関連する腸管出血性大腸菌O157の食中毒事例が14件確認されています。 本記事では現時点でカナダ公衆衛生庁の発表内容を紹介します。また同時に、過去のキムチによる下痢性大腸菌感染症として、 2012年に韓国で発生した腸管毒素原性大腸菌(ETEC)の事例も紹介します。
スーパー販売のミックス野菜サラダで腸管出血性大腸菌O157のアウトブレークが連続発生(米国)
1月6日の 米国疾病予防管理センター(CDC )の発表によると、スーパー販売のミックス野菜サラダ製品で大腸菌 O 157のアウトブレイクが米国で立て続けに発生しています。ベビースピナッチによるものと有機栽培によるオーガニックサラダによるものが別々に独立して発生しているようです。今週はこれらの食中毒について紹介します。
リコールされたサラダのリステリア菌株は次世代シークエンサー解析により数年前の原因不明食中毒事件とリンクされた(米国)
あけましておめでとうございます。さて、早速ですが、昨年暮れに 米国CDCによりサラダによるリステリア食中毒の原因究明に関する興味深い発表が2件立て続けにありました。いずれも、リコール株→次世代シークエンサーでの 全ゲノムシーケンス(WGS)分析 →過去の原因不明リステリア症患者分離株の遺伝子型とデータベース照合で一致→数年前まで遡る未解決食中毒事件の遡及的解決、とういう流れです。食品製造業者は食品への病原菌の混入でリコールが起きた場合、それがリコールだけでは終わらず、過去の食中毒事件の責任が問われる時代に入っていることを示しています。
ノルウェーのスモークサーモン工場でのリステリア菌汚染実態
リステリア菌食中毒の感染経路として、生ハムやナチュラルチーズなどが頻度の高いものとして挙げられます。その他にも、野菜や果物、加熱せずに消費者がそのまま食べるready-to-eat食品なども感染経路となります。スモークサーモンも感染経路のひとつです。2021年の10月に、ノルウェーの海洋研究所は、ノルウェー食品安全局の委託を受けて、サケ切り身の加工処理施設におけるリステリア菌の大規模な汚染調査結果を公表しました。
鶏肉のカンピロバクターの汚染をめぐる英国大手スーパーの熾烈な公表競争と小規模小売店舗の汚染格差の実態
ある国でのカンピロバクター腸炎の食中毒発生確率は、食鳥処理場でのカンピロバクターの菌数レベルによって決定されます。今回紹介するのは、英国における先進的な取り組み事例です。「カンピロバクターが1gあたり1,000cfuを超える」鶏肉を全体の7%以下に抑えることを目標としています。鶏肉のカンピロバクター汚染率の公表義務により、大手スーパー間で熾烈なカンピロバクター汚染率公表競争が繰り広げられています。一方で、小規模小売店舗の実態についてはあまり知られていません。本記事では、その実態について詳しく紹介します。
米国とドイツの食品安全に対する消費者意識基本調査-食品微生物学の視点でピックアップ (ニュース)
先週立て続けに、米国FDAとドイツ連邦リスク評価研究所から、食品安全に対する消費者意識基本調査の結果が公表されました。以下に、特に食品微生物学の観点から、サルモネラ、大腸菌、カンピロバクター、リステリアなどの食中毒菌に対する消費者の認知度などを中心に、要点をピックアップします。