基礎講座ー検査法(培養法)
一般生菌数の測定方法

   plate count,)は、食品企業で勤務しているものなら、誰しもが日常的に行っている微生物検査である。この記事は、食品微生物学の超入門者向けに一般生菌数の測定方法を説明する。

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基礎講座ー検査法(培養法)
一般生菌数の意味を正しく理解しよう

  この記事で、食品や私たちの身の回りにどのくらいの数の微生物がが存在しているかにについて理解を深める。新鮮な食品や腐敗した食品、あるいは糞便、もしくは空気中にどれぐらいの数の微生物がいるのか?空気中に舞う埃ひとかけらにどれぐらいの微生物が存在するか?このような私たちの身の回りの微生物数に関する基本的な理解がないと、測定結果の解釈で、思わぬ落とし穴に落ちる可能性がある。

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ノロウィルスおよびその他ウィルス関連
ノロウィルスの感染力を調べるボランティア実験

ヒトの感染症では、動物と異なり、直接的に感染病原体に感染させる実験はほとんど行われません。しかし、ヒトを感染病原体に感染させる実験が行われる場合もあります。今回紹介する論文はその一つです。ノロウィルスの感染力(感染用量)を直接ヒトボランティア感染実験によって調べた例です。米国ベイラー医科大学のアトマー博士らの研究です

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基礎講座ー検査法(遺伝子に基づく方法)
PCR法による食品の微生物検査の留意点

 PCR検査による食品微生物の検査は、迅速性という点で培養法に比べ優位である。ただし、 PCR検査 の技術特性と実施に伴うリスクについて正確に理解しておかないと、思わぬ落とし穴に落ちることになる。本記事では、PCR検査による食品から微生物の直接検出における留意点について解説する。

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■ 世界最新ニュース
スーパー販売のミックス野菜サラダで腸管出血性大腸菌O157のアウトブレークが連続発生(米国)

1月6日の 米国疾病予防管理センター(CDC )の発表によると、スーパー販売のミックス野菜サラダ製品で大腸菌 O 157のアウトブレイクが米国で立て続けに発生しています。ベビースピナッチによるものと有機栽培によるオーガニックサラダによるものが別々に独立して発生しているようです。今週はこれらの食中毒について紹介します。

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基礎講座ー検査法(遺伝子に基づく方法)
DNAシーケンサーの原理をわかりやすく説明します

食品微生物の遺伝子検査の基礎を理解するためには、DNAシーケンサーの原理の理解が不可欠である。本記事では、DNAの配列決定法について、サンガー法(電気泳動、キャピラリーシーケンサー)、次世代シーケンサー(イルミナシーケンサー、Ion Torrent シーケンサー)、第3世代シーケンサー(ナノポアシーケンサー)の各DNAシーケンサーの原理をわかりやすく説明する。原理や仕組みについては、食品微生物学の初心者がイメージとした理解できることを目的として、大まかな原理について、一部、動画もまじえてわかりやすく説明する。また、各シーケンサーの食品微生物学分野の応用例にも触れる。

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■ 世界最新ニュース
リコールされたサラダのリステリア菌株は次世代シークエンサー解析により数年前の原因不明食中毒事件とリンクされた(米国)

 あけましておめでとうございます。さて、早速ですが、昨年暮れに 米国CDCによりサラダによるリステリア食中毒の原因究明に関する興味深い発表が2件立て続けにありました。いずれも、リコール株→次世代シークエンサーでの 全ゲノムシーケンス(WGS)分析 →過去の原因不明リステリア症患者分離株の遺伝子型とデータベース照合で一致→数年前まで遡る未解決食中毒事件の遡及的解決、とういう流れです。食品製造業者は食品への病原菌の混入でリコールが起きた場合、それがリコールだけでは終わらず、過去の食中毒事件の責任が問われる時代に入っていることを示しています。

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遺伝子に基づく検査法
次世代シークエンサーを応用した食中毒原因細菌の解析(米国GenomeTrakrプロジェクト)の劇的成果

 米国CDC、 FDA、 USDA- FSIS、 NCBIは次世代シークエンサー(NGS)を用いた食中毒細菌の全ゲノム解析のための提携を結び、Genome Trackrプロジェクトを2013年に開始しました。このプロジェクトが始まった2013年9月以降、原因食品を解明することができた食中毒事件数が急激に上昇しました。今回紹介する論文は、 Genome Trackrプロジェクト の開始前と開始後でリステリア菌による食中毒の原因究明がどれだけ改善されたかを紹介した論文です。

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基礎講座ー検査法(遺伝子に基づく方法)
病原菌や食中菌の感染ルート把握のための分子疫学解析手法(菌株の識別法)のすべてをわかりやすく解説します

病原菌や食中毒菌の感染ルートの把握には、精度の高い鑑別法(fingerprinting)が求められる。これまでに細菌の株レベルのタイピングは主としてパルスフィールドゲル電気泳動法に代表されるフラグメント解析や、キャピラリーシーケエンサー(サンガー法)により一部の遺伝子配列を読むMLSTやMLVA等が主流であった。しかし、今後、細菌の株レベル分子疫学解析は、次世代シークエンサーによる全ゲノム配列解析が主流になる。本記事では、これらの分子疫学解析法(菌株の識別法)のすべてを、わかりやすく説明する。

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薬剤耐性菌
薬剤耐性菌(ESBL産生菌)による院内感染が病院食堂の食品からおきた

本シリーズでは薬剤耐性菌問題を、特に食品の摂取との関連の記事を中心に紹介しています。前記事では、市販の鶏肉が市中尿路感染での大腸菌の供給源になっている可能性を示す論文を紹介しました。しかし、前記事の研究はあくまでも臨床株と市販肉分離の大腸菌の遺伝子性状の比較による、間接的な推測でした。今回紹介する事例は、実際に病院の食堂で提供される食品由来の薬剤耐性菌(ESBL産生菌)が入院患者の院内感染の原因となったことを直接的に示したレポートです。

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